酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第114回】
「節税商品取引を巡る法律問題(その8)」
中央大学法科大学院教授・法学博士
酒井 克彦
《(その1)はこちら》
はじめに
Ⅰ 節税商品取引における「投資者保護」の必要性
1 一般的金融商品取引と投資者保護
2 節税商品取引と投資者保護
小括
《(その2)はこちら》
Ⅱ 節税商品取引を抽出する研究の試み
1 米国訴訟との比較による節税商品過誤訴訟の今後の趨勢
2 米国におけるタックスシェルター・マルプラクティス訴訟の状況
3 我が国の節税商品過誤訴訟の状況
4 節税商品取引を巡る環境の変化
5 タックスシェルター・マルプラクティス訴訟と節税商品過誤訴訟の相違点
《(その3)はこちら》
Ⅲ 節税商品の特殊構造と特有な説明義務の模索の必要性
1 節税商品の特殊構造
(1) 商品の二重構造性
(2) リスクの二重構造性
(3) 商品の新規性
《(その4)はこちら》
2 説明内容の二重構造性
3 説明義務者の専門的知識の欠如の問題(説明義務者の適合性の問題)
4 小括
《(その5)はこちら》
Ⅳ 説明義務者の適格性―説明者の専門的知識の欠如
1 問題点の所在
2 販売者の専門的知識の欠如が問題とされた事例
(1) 米国財務省証券事件(①事件)
(2) 等価交換によるマンション建設勧誘事件(②事件)
3 節税商品販売者の専門的知識の欠如
4 節税商品取引における税理士の役割
《(その6)はこちら》
Ⅴ 消極的説明義務
1 税理士への説明行為の委任
2 消極的説明義務
3 専門的知識の欠如した者及び税理士でない者に係る消極的説明義務
《(その7)はこちら》
Ⅵ 租税法の不知・誤解
1 会計業務専門会社への依頼
(1) 第一審東京地裁平成28年10月12日判決
(2) 控訴審東京高裁平成29年3月22日判決(判例集未登載)
2 「高名な」税理士の助言
Ⅶ 最近の節税商品取引と租税リテラシー
前回の「Ⅵ 租税法の不知・誤解」では、節税商品取引等の勧誘を受ける側の租税リテラシーのレベルに関する問題について、いくつかの事例を確認した。本節においても引き続きこの点に着目してみたい。
1 節税マンション投資
例えば、いわゆるレオパレス21事件の一つに岐阜地裁令和2年2月28日判決(判例集未登載)がある。高齢者であるAは、レオパレス21(被告)の担当者から、Aが金融機関から融資を受けて所有地上に共同住宅を建築し、被告が同共同住宅を一括して借り上げて転貸するといういわゆるサブリース事業の勧誘を受け、建築した共同住宅を、被告に対し、契約期間30年、当初10年間は賃料額固定(その後は2年ごとに協議)等の約定で賃貸し(以下「本件賃貸借契約」という。)、被告から賃料(管理費等は控除)を受領していた。
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