酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第2回】
「馬券訴訟(その2)」
~一時所得・雑所得の判定要件~
国士舘大学法学部教授・法学博士
酒井 克彦
1 本件事案の重要論点
前回に事案の概略を紹介したとおり、馬券収入が一時所得に該当するとするY(国側)と雑所得に該当するとするX(納税者側)との間で争われたのであるが、国税不服審判所は一時所得に該当するとのYの主張を妥当と判断している。
ここでの問題点は、一時所得に該当することになると、所得金額の計算上控除することができるのが「その収入を得るために支出した金額」とされ、その金額が、「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る」と限定されることにある。
すなわち、仮に、Xが主張するように雑所得に該当するのであれば、その必要経費が控除できることになるところから、その場合にははずれ馬券も控除の対象となり得るという大きな違いが生じるのである。
次に、一時所得と雑所得の違いについて考えてみたい。
2 一時所得の意義
(1) 所得税法34条1項
一時所得とは、次のような所得をいう。
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