酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第123回】
「節税商品取引を巡る法律問題(その17)」
中央大学法科大学院教授・法学博士
酒井 克彦
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はじめに
Ⅰ 節税商品取引における「投資者保護」の必要性
1 一般的金融商品取引と投資者保護
2 節税商品取引と投資者保護
小括
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Ⅱ 節税商品取引を抽出する研究の試み
1 米国訴訟との比較による節税商品過誤訴訟の今後の趨勢
2 米国におけるタックスシェルター・マルプラクティス訴訟の状況
3 我が国の節税商品過誤訴訟の状況
4 節税商品取引を巡る環境の変化
5 タックスシェルター・マルプラクティス訴訟と節税商品過誤訴訟の相違点
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Ⅲ 節税商品の特殊構造と特有な説明義務の模索の必要性
1 節税商品の特殊構造
(1) 商品の二重構造性
(2) リスクの二重構造性
(3) 商品の新規性
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2 説明内容の二重構造性
3 説明義務者の専門的知識の欠如の問題(説明義務者の適合性の問題)
4 小括
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Ⅳ 説明義務者の適格性―説明者の専門的知識の欠如
1 問題点の所在
2 販売者の専門的知識の欠如が問題とされた事例
(1) 米国財務省証券事件(①事件)
(2) 等価交換によるマンション建設勧誘事件(②事件)
3 節税商品販売者の専門的知識の欠如
4 節税商品取引における税理士の役割
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Ⅴ 消極的説明義務
1 税理士への説明行為の委任
2 消極的説明義務
3 専門的知識の欠如した者及び税理士でない者に係る消極的説明義務
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Ⅵ 租税法の不知・誤解
1 会計業務専門会社への依頼
(1) 第一審東京地裁平成28年10月12日判決
(2) 控訴審東京高裁平成29年3月22日判決(判例集未登載)
2 「高名な」税理士の助言
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Ⅶ 最近の節税商品取引と租税リテラシー
1 節税マンション投資
2 税務署・国税局を名乗るメール
3 成人向け租税リテラシー教育の重要性
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Ⅷ 租税リテラシー教育の意義
1 成人向け租税リテラシー教育
2 リスキリングと成人教育
3 攻めの教育と守りの教育
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4 金融リテラシー教育との協調
(1) 金融リテラシー
(2) 金融リテラシー教育の充実
(3) 生きる力としての租税リテラシー教育
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Ⅸ 節税商品取引に係る情報提供の重要性
1 問題関心~税務当局からの情報提供
2 文書回答手続
(1) 予測可能性の確保
(2) 文書回答手続
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(3) 文書回答手続と節税商品取引
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Ⅹ 広報活動と納税者への情報提供
1 政府広報
2 国税庁による広報活動
3 小括
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4 国税庁の広報活動(予算額・執行額)
5 広報活動と租税リテラシーの醸成
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Ⅺ 金融教育としての租税リテラシー教育
1 金融経済教育懇談会
(1) 現状認識
(2) 課題
(3) 教育の担い手
(4) 広報活動と教育活動
(5) 金融教育における政府に求められる役割
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2 金融経済教育研究会
(1) 金融経済教育研究会報告書
(2) 最低限習得すべき金融リテラシーへのフォーカス化
Ⅻ まとめ
1 金融リテラシー教育との親和性
これまで、この連載では、節税商品過誤訴訟の実態などを通して、節税商品取引における投資者保護の必要性を論じてきた。既述のとおり、そこには特別の議論が待っていると思われる。
なぜなら、①節税商品には特殊構造が認められるにも関わらず、②説明者の専門的知識の欠如という問題が所在するからであった。節税商品取引においては税理士の役割が期待されるところ、投資者と税理士を繋ぐためにも、税理士でない者に係る消極的説明義務の議論が欠かせないことを指摘した。
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