公開日: 2014/01/16 (掲載号:No.52)
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酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第13回】「土地譲渡に係る所得税と相続税との二重課税問題(その1)」

筆者: 酒井 克彦

酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第13回】

「土地譲渡に係る所得税と相続税との二重課税問題(その1)」

 

国士舘大学法学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

いわゆる『年金二重課税事件』と呼ばれる事例の上告審最高裁平成22年7月6日第二小法廷判決(判時2079号20頁。以下「平成22年最判」ともいう)は、相続人が取得した生命保険年金のうち、相続税の課税対象とされた年金受給権の額に相当する部分については、所得税が非課税であると判示した。このことは巷間知られているところである。

さて、この最高裁判決は、原告(被控訴人・上告人)の夫が訴外生命相互会社との間で締結していた生命保険契約(被保険者及び契約者:夫、受取人:原告)に基づき、夫の死亡により原告が受け取った年金払保障特約年金について、所得税法9条1項16号(訴訟当時は15号)の適用により所得税が非課税と判断された事例であるが、この判決の考え方が、他の二重課税が問題とされる事案にまで適用されると解するべきかが議論されている。

近時、この点を直接に争う事案が散見されるところ、本稿では、そのうちの代表的な事案の一つである東京地裁平成25年6月20日判決(判例集未登載。以下「本件東京地裁判決」ともいう)を素材にして、この点につき検討を加えることとしたい。

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酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第13回】

「土地譲渡に係る所得税と相続税との二重課税問題(その1)」

 

国士舘大学法学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

いわゆる『年金二重課税事件』と呼ばれる事例の上告審最高裁平成22年7月6日第二小法廷判決(判時2079号20頁。以下「平成22年最判」ともいう)は、相続人が取得した生命保険年金のうち、相続税の課税対象とされた年金受給権の額に相当する部分については、所得税が非課税であると判示した。このことは巷間知られているところである。

さて、この最高裁判決は、原告(被控訴人・上告人)の夫が訴外生命相互会社との間で締結していた生命保険契約(被保険者及び契約者:夫、受取人:原告)に基づき、夫の死亡により原告が受け取った年金払保障特約年金について、所得税法9条1項16号(訴訟当時は15号)の適用により所得税が非課税と判断された事例であるが、この判決の考え方が、他の二重課税が問題とされる事案にまで適用されると解するべきかが議論されている。

近時、この点を直接に争う事案が散見されるところ、本稿では、そのうちの代表的な事案の一つである東京地裁平成25年6月20日判決(判例集未登載。以下「本件東京地裁判決」ともいう)を素材にして、この点につき検討を加えることとしたい。

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連載目次

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉

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筆者紹介

酒井 克彦

(さかい・かつひこ)

法学博士(中央大学)。
国税庁等での勤務を経て、現在、中央大学法科大学院教授として、法科大学院のほか税務大学校等でも教鞭をとる。
一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。

一般社団法人ファルクラム https://fulcrumtax.net/
一般社団法人アコード租税総合研究所 http://accordtax.net/

【著書】
「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈―判断に迷う《加算税免除規定》の解釈』(2015年、清文社)
「相当性」をめぐる認定判断と税務解釈―借地権課税における「相当の地代」を主たる論点として』(2013年、清文社)
『スタートアップ租税法〔第4版〕』(2021年)、『クローズアップ保険税務』(2016年)その他5冊のアップシリーズ(財経詳報社)
『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』(2021年)、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』(2019年)、『裁判例からみる税務調査』(2020年)、『裁判例からみる保険税務』(2021年、大蔵財務協会)
『レクチャー租税法解釈入門』(2015年、弘文堂)
『プログレッシブ税務会計論Ⅰ〔第2版〕、Ⅱ〔第2版〕、Ⅲ、Ⅳ』(Ⅰ、Ⅱ 2018年、Ⅲ 2019年、Ⅳ 2020年、中央経済社)
『アクセス税務通達の読み方』(2016年)、『税理士業務に活かす!通達のチェックポイント -法人税裁判事例精選20』(2017年)、『同 -所得税裁判事例精選20』(2018年)、『同-相続税裁判事例精選20』(2019年、第一法規)
『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(2019年)、その他5冊のキャッチアップシリーズ(ぎょうせい)
その他書籍・論文多数

 

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