酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第40回】
「法人税法にいう『法人』概念(その4)」
~株主集合体説について考える~
中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦
はじめに
1 個人株主と法人との間の配当二重課税排除
(1) 支払配当控除方式
(2) グロスアップ方式(法人段階源泉課税方式、インピュテーション方式)
2 配当控除(所法92)と受取配当益金不算入(法法23)
3 LPS事件
(1) 事案の概要
(2) 判決の要旨
4 LPS事件の検討
(1) 参考となる最高裁判決
(2) 法人該当性と私法準拠
法人該当性を検討するに当たって、我が国私法上の法人該当性を参考にする考え方には、2つのルートが考えられる。
すなわち、第一のアプローチとしては、概念論の見地から「法人」という租税法上の用語の意義の解明に当たり、私法上の理解を参考にする方法が考えられる。第二のアプローチとしては、性質論の見地から租税法上の「法人」と私法上の「法人」を比較して考える構成である。この2つのアプローチは似ているものの、実は理論的には非なるものである。
第一のアプローチはいわば言葉の問題として租税法における「法人」を考えるという構成である。条文上の文言の意義を解明するのに、租税法上固有の意義を持った概念であるとはいえない場合には、法的安定性や予測可能性を担保する見地から、私法における概念と同様に理解しようとする捉え方である。これは文理解釈上の「概念論」の問題である。
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