酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第105回】
「節税義務が争点とされた事例(その8)」
中央大学法科大学院教授・法学博士
酒井 克彦
1 事案の概要
(1) 概観
本件は、医療法人であるX(原告)設立の際、X代表者である甲野が、当時自身の顧問税理士であったY(被告)との間で、その設立手続の一部をYが行う旨の契約(以下「本件契約」という。)を締結したことに端を発する事案である。
Xは、本件契約上、Yが甲野に対し、設立後2期分の消費税免除などの税制上の有利を受けられるよう、Xの設立時の資本金を1,000万円未満とすべきであるといった指導を行う義務があったにもかかわらず、これを怠り、Xに設立後2期分の消費税を支払わせるなどの税務上の損害を与え、また、X設立後、XとYとの税務申告に関する契約上、Yが事務用品購入費について経費算入を怠ったとして、前者については選択的に債務不履行又は不法行為に、後者については債務不履行に基づき、支払った税金相当額又は繰越欠損金として扱われるべきであった額相当分を損害として、その賠償を求めた事案である。
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