公開日: 2022/03/10 (掲載号:No.460)
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酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第105回】「節税義務が争点とされた事例(その8)」

筆者: 酒井 克彦

酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第105回】

「節税義務が争点とされた事例(その8)」

 

中央大学法科大学院教授・法学博士
酒井 克彦

 

1 事案の概要

(1) 概観

本件は、医療法人であるX(原告)設立の際、X代表者である甲野が、当時自身の顧問税理士であったY(被告)との間で、その設立手続の一部をYが行う旨の契約(以下「本件契約」という。)を締結したことに端を発する事案である。

Xは、本件契約上、Yが甲野に対し、設立後2期分の消費税免除などの税制上の有利を受けられるよう、Xの設立時の資本金を1,000万円未満とすべきであるといった指導を行う義務があったにもかかわらず、これを怠り、Xに設立後2期分の消費税を支払わせるなどの税務上の損害を与え、また、X設立後、XとYとの税務申告に関する契約上、Yが事務用品購入費について経費算入を怠ったとして、前者については選択的に債務不履行又は不法行為に、後者については債務不履行に基づき、支払った税金相当額又は繰越欠損金として扱われるべきであった額相当分を損害として、その賠償を求めた事案である。

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〈深読み◆租税法〉

【第105回】

「節税義務が争点とされた事例(その8)」

 

中央大学法科大学院教授・法学博士
酒井 克彦

 

1 事案の概要

(1) 概観

本件は、医療法人であるX(原告)設立の際、X代表者である甲野が、当時自身の顧問税理士であったY(被告)との間で、その設立手続の一部をYが行う旨の契約(以下「本件契約」という。)を締結したことに端を発する事案である。

Xは、本件契約上、Yが甲野に対し、設立後2期分の消費税免除などの税制上の有利を受けられるよう、Xの設立時の資本金を1,000万円未満とすべきであるといった指導を行う義務があったにもかかわらず、これを怠り、Xに設立後2期分の消費税を支払わせるなどの税務上の損害を与え、また、X設立後、XとYとの税務申告に関する契約上、Yが事務用品購入費について経費算入を怠ったとして、前者については選択的に債務不履行又は不法行為に、後者については債務不履行に基づき、支払った税金相当額又は繰越欠損金として扱われるべきであった額相当分を損害として、その賠償を求めた事案である。

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連載目次

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉

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筆者紹介

酒井 克彦

(さかい・かつひこ)

法学博士(中央大学)。
国税庁等での勤務を経て、現在、中央大学法科大学院教授として、法科大学院のほか税務大学校等でも教鞭をとる。
一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。

一般社団法人ファルクラム https://fulcrumtax.net/
一般社団法人アコード租税総合研究所 http://accordtax.net/

【著書】
「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈―判断に迷う《加算税免除規定》の解釈』(2015年、清文社)
「相当性」をめぐる認定判断と税務解釈―借地権課税における「相当の地代」を主たる論点として』(2013年、清文社)
『スタートアップ租税法〔第4版〕』(2021年)、『クローズアップ保険税務』(2016年)その他5冊のアップシリーズ(財経詳報社)
『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』(2021年)、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』(2019年)、『裁判例からみる税務調査』(2020年)、『裁判例からみる保険税務』(2021年、大蔵財務協会)
『レクチャー租税法解釈入門』(2015年、弘文堂)
『プログレッシブ税務会計論Ⅰ〔第2版〕、Ⅱ〔第2版〕、Ⅲ、Ⅳ』(Ⅰ、Ⅱ 2018年、Ⅲ 2019年、Ⅳ 2020年、中央経済社)
『アクセス税務通達の読み方』(2016年)、『税理士業務に活かす!通達のチェックポイント -法人税裁判事例精選20』(2017年)、『同 -所得税裁判事例精選20』(2018年)、『同-相続税裁判事例精選20』(2019年、第一法規)
『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(2019年)、その他5冊のキャッチアップシリーズ(ぎょうせい)
その他書籍・論文多数

 

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