酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第128回】
「消費税法上の実質行為者課税の原則(その1)」
中央大学法科大学院教授・法学博士
酒井 克彦
はじめに
所得税法や法人税法には実質所得者課税の原則が設けられているが、消費税法にも類似の規定が存在する。すなわち、消費税法13条《資産の譲渡等又は特定仕入れを行った者の実質判定》1項は、「法律上資産の譲渡等を行ったとみられる者が単なる名義人であって、その資産の譲渡等に係る対価を享受せず、その者以外の者がその資産の譲渡等に係る対価を享受する場合には、当該資産の譲渡等は、当該対価を享受する者が行ったものとして、この法律の規定を適用する。」とし、2項は、「法律上特定仕入れを行ったとみられる者が単なる名義人であって、その特定仕入れに係る対価の支払をせず、その者以外の者がその特定仕入れに係る対価を支払うべき者である場合には、当該特定仕入れは、当該対価を支払うべき者が行ったものとして、この法律の規定を適用する。」と規定する。
かかる規定の適用について論じられた事例として、⼤阪地裁平成25年6⽉18⽇判決(税資263号順号12235)がある。この事件を素材として、消費税法上のいわゆる実質行為者課税の原則について考えることとしよう。
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