酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第21回】
「医療費控除の対象となる『医薬品』(その3)」
中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦
Ⅴ 公法か私法か
前回述べたとおり、課税実務は、所得税法73条2項にいう「医薬品」が薬事法からの借用概念であって、かかる「医薬品」が薬事法に示されているものに限るという点に厳格に従っているのである。
そこで関心を寄せるべきは、薬事法が公法であるという点である。この点については、本連載、第16回~第18回(「建替え建築は『新築』か『改築』か?―住宅借入金等特別控除と借用概念―」)においても確認したとおり、公法から概念を借りるという見方については制約があったことを想起したい。
すなわち、公法は私法とは異なり、立法の趣旨・目的が行政政策的あるいは警察的目的に限定されていることが多いことに鑑みれば、公法上の概念の理解も自ずとその立法趣旨・目的の制約を受けることになると思われるという点である。そもそも、借用概念論が前提としているのは、やはり私法であるということを考えるべきであろう。
さて、薬事法は公法である。
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