公開日: 2017/09/14 (掲載号:No.235)
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酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第56回】「税制調査会答申から租税法条文を読み解く(その2)」

筆者: 酒井 克彦

酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第56回】

「税制調査会答申から租税法条文を読み解く(その2)」

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

《(その1)はこちら

はじめに

Ⅰ 税制調査会とは

Ⅱ 代表者と社会との同質性

Ⅲ 事例検討1―遡及課税問題―

1 事案の概要

 

2 判決の要旨

(1) 第一審東京地裁平成20年2月14日判決(訟月56巻2号197頁)

本件事案において、東京地裁平成20年2月14日判決は次のように述べ、本件改正附則27条1項の違憲性を否定した。

事実によれば、・・・遅くとも、自由民主党の決定した平成16年度税制改正大綱がG新聞に掲載された平成15年12月18日には、その周知の程度は完全ではないにしても、平成16年分所得税から土地等又は建物等の長期譲渡所得について損益通算制度が適用されなくなることを納税者において予測することができる状態になったということができる。したがって、確かにかなり切迫した時点ではあったにせよ、平成16年1月1日以降の土地等又は建物等の譲渡について損益通算ができなくなることを納税者においてあらかじめ予測できる可能性がなかったとまではいえない。

このように、東京地裁は、「周知の程度は完全ではないにしても」との前置きをしつつも、遅くとも平成15年12月18日時点では「納税者において予測することができる状態になった」ということができるとし、以下のように続けるのである。

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【第56回】

「税制調査会答申から租税法条文を読み解く(その2)」

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

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はじめに

Ⅰ 税制調査会とは

Ⅱ 代表者と社会との同質性

Ⅲ 事例検討1―遡及課税問題―

1 事案の概要

 

2 判決の要旨

(1) 第一審東京地裁平成20年2月14日判決(訟月56巻2号197頁)

本件事案において、東京地裁平成20年2月14日判決は次のように述べ、本件改正附則27条1項の違憲性を否定した。

事実によれば、・・・遅くとも、自由民主党の決定した平成16年度税制改正大綱がG新聞に掲載された平成15年12月18日には、その周知の程度は完全ではないにしても、平成16年分所得税から土地等又は建物等の長期譲渡所得について損益通算制度が適用されなくなることを納税者において予測することができる状態になったということができる。したがって、確かにかなり切迫した時点ではあったにせよ、平成16年1月1日以降の土地等又は建物等の譲渡について損益通算ができなくなることを納税者においてあらかじめ予測できる可能性がなかったとまではいえない。

このように、東京地裁は、「周知の程度は完全ではないにしても」との前置きをしつつも、遅くとも平成15年12月18日時点では「納税者において予測することができる状態になった」ということができるとし、以下のように続けるのである。

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連載目次

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉

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筆者紹介

酒井 克彦

(さかい・かつひこ)

法学博士(中央大学)。
国税庁等での勤務を経て、現在、中央大学法科大学院教授として、法科大学院のほか税務大学校等でも教鞭をとる。
一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。

一般社団法人ファルクラム https://fulcrumtax.net/
一般社団法人アコード租税総合研究所 http://accordtax.net/

【著書】
「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈―判断に迷う《加算税免除規定》の解釈』(2015年、清文社)
「相当性」をめぐる認定判断と税務解釈―借地権課税における「相当の地代」を主たる論点として』(2013年、清文社)
『スタートアップ租税法〔第4版〕』(2021年)、『クローズアップ保険税務』(2016年)その他5冊のアップシリーズ(財経詳報社)
『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』(2021年)、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』(2019年)、『裁判例からみる税務調査』(2020年)、『裁判例からみる保険税務』(2021年、大蔵財務協会)
『レクチャー租税法解釈入門』(2015年、弘文堂)
『プログレッシブ税務会計論Ⅰ〔第2版〕、Ⅱ〔第2版〕、Ⅲ、Ⅳ』(Ⅰ、Ⅱ 2018年、Ⅲ 2019年、Ⅳ 2020年、中央経済社)
『アクセス税務通達の読み方』(2016年)、『税理士業務に活かす!通達のチェックポイント -法人税裁判事例精選20』(2017年)、『同 -所得税裁判事例精選20』(2018年)、『同-相続税裁判事例精選20』(2019年、第一法規)
『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(2019年)、その他5冊のキャッチアップシリーズ(ぎょうせい)
その他書籍・論文多数

 

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