酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第72回】
「社会通念から読み解く租税法(その3)」
中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦
《(その1)はこちら》
はじめに
Ⅰ 社会通念とは何か
Ⅱ 租税法と社会通念
1 興銀事件
《(その2)はこちら》
2 財産分与に係る第二次納税義務
(1) 財産分与と「著しく低い額の対価による譲渡」
(2) 不相当に過大な財産分与
Ⅲ 社会通念という基準
これまで、興銀事件及び第二次納税義務の事例を素材に、判決において採用される「社会通念」たるものを考えてみた。
興銀事件では、社会通念というものが何を指しているか判然としなかったが、他方で、第二次納税義務の事例では、社会通念をいわば科学的な積上げ計算を行うための根拠として用いていたことが分かる。
このように「社会通念」という概念自体は必ずしも明確なものとはいえないし、その概念の使い方も多義的であろうが、その一方で、社会通念たる道具は、法の適用を社会的に承認させるためのツールであるとみることもできる。
中里実教授は、前述の興銀事件において鑑定意見書を提出した研究者の1人であるが、次のように述懐している。
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