酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第75回】
「国語辞典から読み解く租税法(その3)」
中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦
《(その1)はこちら》
はじめに
1 長崎地裁平成28年5月10日判決
2 文理解釈
《(その2)はこちら》
3 長崎地裁への疑問
4 租税法律主義の観点からの検討―社会通念―
5 法の趣旨目的の観点からの検討―文字解釈―
6 辞書間における統一的意義
(1) 東京高裁平成14年2月28日判決
6 辞書間における統一的意義(承前)
(2) 国語辞典の編集方針
イ 実例主義と規範主義
辞書や辞典では、各々がそれぞれの編集方針を採用している。例えば、三省堂の国語辞典についていえば、「実例に基づいた項目を立てる」という前提の下で、編纂及び編集がされている(飯間・前掲書38頁)。
このような編集方針のことを「実例主義」という。同書の例でいえば、「専門知識を提供する辞書とは別に、『それは要するにどのようなものか』という、基本的なことを説明する辞書」としての役割を担おうとしているからこそ、「実例主義」を採用しているようである。
これに対して、「規範主義」という考え方がある。「今の日本語はこのように使われている」とするのが実例主義であると定義すれば、「この用語は正しくはこうです」と説明することに主眼を置くのが規範主義だという。すなわち、対象となる辞書が実例主義を採用しているのか、規範主義を採用しているのかによって後述するように語釈が異なることになるのである。
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