公開日: 2019/04/11 (掲載号:No.314)
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酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第75回】「国語辞典から読み解く租税法(その3)」

筆者: 酒井 克彦

酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第75回】

「国語辞典から読み解く租税法(その3)」

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

《(その1)はこちら

はじめに

1 長崎地裁平成28年5月10日判決

2 文理解釈

《(その2)はこちら

3 長崎地裁への疑問

4 租税法律主義の観点からの検討―社会通念―

5 法の趣旨目的の観点からの検討―文字解釈―

6 辞書間における統一的意義

(1) 東京高裁平成14年2月28日判決

 

6 辞書間における統一的意義(承前)

(2) 国語辞典の編集方針

イ 実例主義と規範主義

辞書や辞典では、各々がそれぞれの編集方針を採用している。例えば、三省堂の国語辞典についていえば、「実例に基づいた項目を立てる」という前提の下で、編纂及び編集がされている(飯間・前掲書38頁)。

このような編集方針のことを「実例主義」という。同書の例でいえば、「専門知識を提供する辞書とは別に、『それは要するにどのようなものか』という、基本的なことを説明する辞書」としての役割を担おうとしているからこそ、「実例主義」を採用しているようである。

これに対して、「規範主義」という考え方がある。「今の日本語はこのように使われている」とするのが実例主義であると定義すれば、「この用語は正しくはこうです」と説明することに主眼を置くのが規範主義だという。すなわち、対象となる辞書が実例主義を採用しているのか、規範主義を採用しているのかによって後述するように語釈が異なることになるのである。

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酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第75回】

「国語辞典から読み解く租税法(その3)」

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

《(その1)はこちら

はじめに

1 長崎地裁平成28年5月10日判決

2 文理解釈

《(その2)はこちら

3 長崎地裁への疑問

4 租税法律主義の観点からの検討―社会通念―

5 法の趣旨目的の観点からの検討―文字解釈―

6 辞書間における統一的意義

(1) 東京高裁平成14年2月28日判決

 

6 辞書間における統一的意義(承前)

(2) 国語辞典の編集方針

イ 実例主義と規範主義

辞書や辞典では、各々がそれぞれの編集方針を採用している。例えば、三省堂の国語辞典についていえば、「実例に基づいた項目を立てる」という前提の下で、編纂及び編集がされている(飯間・前掲書38頁)。

このような編集方針のことを「実例主義」という。同書の例でいえば、「専門知識を提供する辞書とは別に、『それは要するにどのようなものか』という、基本的なことを説明する辞書」としての役割を担おうとしているからこそ、「実例主義」を採用しているようである。

これに対して、「規範主義」という考え方がある。「今の日本語はこのように使われている」とするのが実例主義であると定義すれば、「この用語は正しくはこうです」と説明することに主眼を置くのが規範主義だという。すなわち、対象となる辞書が実例主義を採用しているのか、規範主義を採用しているのかによって後述するように語釈が異なることになるのである。

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連載目次

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉

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筆者紹介

酒井 克彦

(さかい・かつひこ)

法学博士(中央大学)。
国税庁等での勤務を経て、現在、中央大学法科大学院教授として、法科大学院のほか税務大学校等でも教鞭をとる。
一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。

一般社団法人ファルクラム https://fulcrumtax.net/
一般社団法人アコード租税総合研究所 http://accordtax.net/

【著書】
「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈―判断に迷う《加算税免除規定》の解釈』(2015年、清文社)
「相当性」をめぐる認定判断と税務解釈―借地権課税における「相当の地代」を主たる論点として』(2013年、清文社)
『スタートアップ租税法〔第4版〕』(2021年)、『クローズアップ保険税務』(2016年)その他5冊のアップシリーズ(財経詳報社)
『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』(2021年)、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』(2019年)、『裁判例からみる税務調査』(2020年)、『裁判例からみる保険税務』(2021年、大蔵財務協会)
『レクチャー租税法解釈入門』(2015年、弘文堂)
『プログレッシブ税務会計論Ⅰ〔第2版〕、Ⅱ〔第2版〕、Ⅲ、Ⅳ』(Ⅰ、Ⅱ 2018年、Ⅲ 2019年、Ⅳ 2020年、中央経済社)
『アクセス税務通達の読み方』(2016年)、『税理士業務に活かす!通達のチェックポイント -法人税裁判事例精選20』(2017年)、『同 -所得税裁判事例精選20』(2018年)、『同-相続税裁判事例精選20』(2019年、第一法規)
『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(2019年)、その他5冊のキャッチアップシリーズ(ぎょうせい)
その他書籍・論文多数

 

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