酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第84回】
「立法資料から税法を読み解く(その3)」
中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦
《(その1)はこちら》
はじめに
Ⅰ 申告期限内の2以上の申告書
1 問題の所在
2 申告期限内の2以上の申告書が提出された事例
3 吸収説と併存説
4 学説
《(その2)はこちら》
Ⅱ 立法当時の議論を紐解く
1 国税通則法小委員会
2 当初申告と一体とされる訂正申告書
Ⅲ 実務的取扱いと原則的排他性
1 所得税基本通達120-4
それでは、実務的にはいかなる取扱いとなっているのであろうか。
この点について、所得税基本通達を確認してみたい。
所得税基本通達120-4《同一人から2以上の申告書が提出された場合》
法定申告期限内に同一人から法第120条に規定する申告書、法第122条に規定する申告書又は法第123条《確定損失申告》に規定する申告書のうち種類を異にするものが2以上又は種類を同じくするものが2以上提出された場合には、特段の申出(法定申告期限内における申出に限る。)がない限り、当該2以上の申告書のうち最後に提出された申告書をもって、それぞれの規定により提出された申告書とする。
これは、前回立法資料として紹介した当時の国税通則法小委員会における議論と同様の考え方であり、いわば吸収説的な立場に立った考え方であるといえよう。
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