酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第93回】
「法令相互間の適用原則から読み解く租税法(その3)」
~後法優位の原則~
中央大学法科大学院教授・法学博士
酒井 克彦
《(その1)はこちら》
はじめに
Ⅰ 所管事項の原則
1 概観
2 所得税法157条《同族会社等の行為又は計算の否認等》の適用
3 対応的調整と所管事項の原則
《(その2)はこちら》
Ⅱ 形式的効力の原則
1 概観
2 遡及課税事案
3 添付要件を付した施行令及び施行規則
4 政令が規定するプロラタ計算
5 小括
Ⅲ 後法優位の原則
1 概観
「後法は前法に勝る」とか、「後法は前法を破る」という法諺がある。
これは、その効力が同等である2つ以上の法令の矛盾抵触がある場合において、法令の所管事項の原則(本連載「その1」)によっても、法令の形式的効力の原則(本連載「その2」)によっても、特別法優先の原則によっても解決できない場合に時間的に後から制定されたものが前に制定されたものよりも優越するということを表す考え方である(伊藤義一『税法の読み方 判例の見方〔改訂版〕』84頁(TKC出版2007))。
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