酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第133回】
「消費税の性質論(その1)」
中央大学法科大学院教授・法学博士
酒井 克彦
はじめに
消費税法が施行されてから35年が経過しているのにもかかわらず、いまだに消費税の法的性質が論じられることが少なくない。そこでは、そもそも消費税が預り金としての性質を有するものであるのか否かとか、消費税は価格に転嫁されることが予定されるものであるのか否かといった本質論にも接続する論点が所在する。
そこで、これらの点について、消費税法は、憲法14条・25条・29条・32条・84条の一義的文言に違反するものでなく、同法の立法行為が不法行為となるとはいえないとした東京地裁平成2年3月26日判決(判時1344号115頁)を素材として考えることとしたい。
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