酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第39回】
「法人税法にいう『法人』概念(その3)」
~株主集合体説について考える~
中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦
はじめに
1 個人株主と法人との間の配当二重課税排除
(1) 支払配当控除方式
(2) グロスアップ方式(法人段階源泉課税方式、インピュテーション方式)
2 配当控除(所法92)と受取配当益金不算入(法法23)
3 LPS事件
(1) 事案の概要
(2) 判決の要旨
(イ) 大阪地裁判決
大阪地裁平成22年12月17日判決(判時2126号28頁)は、実体法的観点から法人該当性を以下の2つの基準で判断すべき旨説示している。
① その構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有すること(具体的には、当該事業体の財産につき構成員が直接の具体的な持分を有しておらず、かつ、当該事業体の名義により登記等の公示を行うことができること)。
② その名において契約等の法律行為を行い、その名において権利を有し義務を負うことができるという能力等を有すること。
同地裁はこれのみではなく、手続法的観点からも法人該当性を判断すべきとして、次の3つ目の判断基準を示した。
③ その名において訴訟当事者となり得ること(訴訟上の当事者能力)。
その理由は、実体法上権利義務の帰属主体となることができる者は当然に訴訟上の当事者能力を有するということができるからである(民事訴訟法28条参照)。
この判断は、Yの主張に沿ったものであった。結論として、Yの主張を採用し、納税者敗訴となっている。
(ロ) 大阪高裁判決
この事件は控訴され、控訴審大阪高裁平成25年4月25日判決(税資263号順号12208)では、Yが主張した基準である上記①ないし③に対して、否定的な態度が示された。
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