酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第50回】
「限られた租税行政資源と『税務に関するコーポレートガバナンス』(その2)」
中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦
3 国税庁における「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組」
(1) 事務運営指針
限られた税務行政資源の中で適正公平な課税を担保するため、特に悪質な、あるいは大口な納税者に対して資源を集中している昨今の税務行政の傾向は前回述べたとおりである。すなわち、国税庁は、税務に関するコーポレートガバナンスが良好である納税者と、そうでない納税者について、「メリハリ」をつけて対応していくこととしているのである。
以下では、平成28年7月1日より本格的に運用が開始されている、国税庁による「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組」について概観することとしよう。
税務に関するコーポレートガバナンスの取組みは、平成23年ころから始まったものであるが、5年の試行期間を経たのち、平成28年6月14日に「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組の事務実施要領の制定について」として事務運営指針が制定された。
同指針は、「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組の事務実施要領」に加えて、「税務に関するコーポレートガバナンスの確認項目の評価ポイント」(別紙1)、「自主開示について」(別紙2)と、様式編として、「税務に関するコーポレートガバナンス確認表」(様式1)、「税務に関するコーポレートガバナンス評価書」(様式2)、「自主開示事項確認事績整理票」(様式3)から構成されている。
(2) 事務実施要領における評価の流れ
事務実施要領では、調査の機会を利用した働きかけとして、(ア)税務に関するコーポレートガバナンスの確認、(イ)税務に関するコーポレートガバナンスの判定を行った上、(ウ)トップマネジメントとの面談を通じて、(エ)その判定結果の活用をすることとされている。
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