酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第100回】
「節税義務が争点とされた事例(その3)」
中央大学法科大学院教授・法学博士
酒井 克彦
遺産分割協議の成立に伴う相続税の修正申告を受任した税理士には、その事務処理に当たり延納許可申請手続をすることに関し、依頼者に納付についての指導・助言をする付随的義務があり、かかる義務の履行を怠った点に債務不履行があったと認めることができるとして、当該税理士に損害賠償義務があるとされた事例に東京高裁平成7年6月19日判決(判時1540号48頁)がある(※)。
(※) この事例を扱った論稿として、酒井克彦・税務弘報54巻1号105頁(2006)参照。
今回は、この事例を検討することとしよう。
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