酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第106回】
「節税義務が争点とされた事例(その9)」
中央大学法科大学院教授・法学博士
酒井 克彦
今回は、節税義務自体が争点とされたものではないが、税理士が変額保険を利用した節税シミュレーションを提案した、あるいは保険会社の勧誘に助力したとして、原告から不法行為責任を追及された事例を基に、税理士の責任論を考えてみたい。素材とする事案は、東京地裁平成8年3月26日判決(判時1576号77頁)及びその控訴審東京高裁平成12年9月11日判決(判時1724号48頁)である。
1 事案の概要
(1) 変額保険を用いた節税スキームの概要
本件は、変額保険を用いた節税スキームを巡る事案である。変額保険は、保険金額が特別勘定の資産の運用実績に基づいて増減する生命保険であり、被保険者が死亡するなどした場合には、基本保険金及び変動保険金が保険金として支払われる。本件保険契約においては、基本保険金の支払額(3億円)は保証されているが、変動保険金の額は、特別勘定の資産運用実績によって毎月その額が変動し、また、解約返戻金の額も、運用実績によって毎月変動することとなる。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員登録およびログインが必要です。
すでに会員登録をされている方は、下記ボタンからログインのうえ、ご覧ください。
Profession Journalのすべての記事をご覧いただくには、「プレミアム会員(有料)」へのご登録が必要となります。
なお、『速報解説』については「一般会員(無料)」へのご登録でも、ご覧いただけます。
※他にもWebセミナー受け放題のスーパープレミアム会員などがございます。
会員登録がお済みでない方は、下記会員登録のボタンより、ご登録のお手続きをお願いいたします。