酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第19回】
「医療費控除の対象となる『医薬品』(その1)」
中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦
はじめに
この連載では、これまで課税要件について述べてきたが、租税法律主義の下、租税法律関係においては文理解釈が優先されると解されている。その理由については、租税法が侵害規範であるからという説明によって整理されることもある。
もっとも、法律の規定にできるだけ忠実に文理解釈をするべきだとしても、条文に使用されている概念(用語)の意味が明らかでなければ文理解釈もままならない。その概念も租税法中に定義があるとか、文脈からその意味するところを明らかにできるのであれば、さしたる問題も起きないが、問題は定義規定のない概念の意味をいかに理解すべきかという点にある。
この点が、租税法の解釈を巡る重大な問題であり、また租税法における要件事実のうち、もっとも大きな論点となっているのである。
今回は、所得税法上の医療費控除にいう「医薬品」の意義を巡る問題を取り上げて考えてみたい。
Ⅰ 法令の規定及び通達の取扱いにみる「医薬品」
納税者が購入した自然医食品が、薬事法2条1項に規定される医薬品に該当しないものである場合、その自然医食品の購入は、医薬品の購入の対価として医療費控除の対象となるのであろうか。
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