酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第53回】
「国会審議から租税法条文を読み解く(その2)」
中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦
Ⅲ 雪下ろし費用の雑損控除の論拠
1 2つの解釈論的アプローチ
雪下ろし費用に係る雑損控除を認める論拠を解釈論上いかに説明するかについては、差し当たり2つの捉え方があり得ると思われる。
① 豪雪損失説
豪雪被害による損失を考慮して雑損控除の対象とするという考え方
② 損失拡大未然防止説
豪雪による被害をこれ以上拡大させないためになされる被害未然防止費用として雑損控除の対象とするという考え方
これらの見解について、それぞれ国会審議から確認することができるので、以下確認してみたい。
(1) 豪雪損失説
第一に、豪雪自体を雑損控除の対象として、この豪雪による損害の中に、「雪下ろし費用」を読み込むアプローチがある(豪雪損失説)。
例えば、昭和56年3月3日付け第94回国会衆議院・予算委員会第5分科会において、国税庁の冨尾一郎所得税課長(当時。後の国税庁次長)が次のように答弁している。
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