公開日: 2013/11/28 (掲載号:No.46)
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酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第10回】「内縁の妻は配偶者控除の適用を受けられるか?(その1)」

筆者: 酒井 克彦

酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第10回】

「内縁の妻は配偶者控除の適用を受けられるか?(その1)」

 

国士舘大学法学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

1 「配偶者」をめぐる解釈

今回は、結婚により夫婦として共同生活をしているが婚姻届を提出していない、いわゆる内縁の妻について、所得税法上の配偶者控除が認められるか否かという問題について考えてみたい。

ところで、所得税法には、「配偶者」という概念についての定義規定はない。したがって、所得税法上の文脈から「配偶者」概念を理解しようとしても、その材料に乏しく、条文から意義や範囲を画することができない。

そこで、この「配偶者」という概念は、おそらく民法から借りてきた概念、すなわち「借用概念」であると思われるので、民法において理解されている意味内容を探り、そのような理解と整合させるように、所得税法上の概念を理解すべきであると考える。

これは、以前ここでも取り上げた相続税法上の「住所」の概念を民法の概念の理解に合わせようとする通説的な考え方と同じである。

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〈深読み◆租税法〉

【第10回】

「内縁の妻は配偶者控除の適用を受けられるか?(その1)」

 

国士舘大学法学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

1 「配偶者」をめぐる解釈

今回は、結婚により夫婦として共同生活をしているが婚姻届を提出していない、いわゆる内縁の妻について、所得税法上の配偶者控除が認められるか否かという問題について考えてみたい。

ところで、所得税法には、「配偶者」という概念についての定義規定はない。したがって、所得税法上の文脈から「配偶者」概念を理解しようとしても、その材料に乏しく、条文から意義や範囲を画することができない。

そこで、この「配偶者」という概念は、おそらく民法から借りてきた概念、すなわち「借用概念」であると思われるので、民法において理解されている意味内容を探り、そのような理解と整合させるように、所得税法上の概念を理解すべきであると考える。

これは、以前ここでも取り上げた相続税法上の「住所」の概念を民法の概念の理解に合わせようとする通説的な考え方と同じである。

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連載目次

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉

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筆者紹介

酒井 克彦

(さかい・かつひこ)

法学博士(中央大学)。
国税庁等での勤務を経て、現在、中央大学法科大学院教授として、法科大学院のほか税務大学校等でも教鞭をとる。
一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。

一般社団法人ファルクラム https://fulcrumtax.net/
一般社団法人アコード租税総合研究所 http://accordtax.net/

【著書】
「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈―判断に迷う《加算税免除規定》の解釈』(2015年、清文社)
「相当性」をめぐる認定判断と税務解釈―借地権課税における「相当の地代」を主たる論点として』(2013年、清文社)
『スタートアップ租税法〔第4版〕』(2021年)、『クローズアップ保険税務』(2016年)その他5冊のアップシリーズ(財経詳報社)
『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』(2021年)、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』(2019年)、『裁判例からみる税務調査』(2020年)、『裁判例からみる保険税務』(2021年、大蔵財務協会)
『レクチャー租税法解釈入門』(2015年、弘文堂)
『プログレッシブ税務会計論Ⅰ〔第2版〕、Ⅱ〔第2版〕、Ⅲ、Ⅳ』(Ⅰ、Ⅱ 2018年、Ⅲ 2019年、Ⅳ 2020年、中央経済社)
『アクセス税務通達の読み方』(2016年)、『税理士業務に活かす!通達のチェックポイント -法人税裁判事例精選20』(2017年)、『同 -所得税裁判事例精選20』(2018年)、『同-相続税裁判事例精選20』(2019年、第一法規)
『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(2019年)、その他5冊のキャッチアップシリーズ(ぎょうせい)
その他書籍・論文多数

 

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