公開日: 2016/11/10 (掲載号:No.193)
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酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第47回】「宝くじに係る課税と所得の実現(その2)」

筆者: 酒井 克彦

酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第47回】

「宝くじに係る課税と所得の実現(その2)」

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

《(その1)はこちら

Ⅰ 課税の時期の原則

1 権利確定主義

2 実現概念

(1) 問題意識

Ⅰ 課税の時期の原則(承前)

2 実現概念(承前)

(1) 問題意識(承前)

ここで、前回の設問について若干の考察を行ってみたい。

設問は、労務提供の対価として、宝くじ抽選券1,000枚(1枚300円)を無償で譲り受けたところ、抽選の結果、合計1,003万円の当せん金を得た場合、宝くじの支給が労務提供の対価とすれば給与所得に該当すると解されるが、給与所得の金額は300,000円(=1,000枚×300円)と1,003万円のいずれと解するべきであろうかというものであった。

この設問について、宝くじは1枚当たり購入価額300円の価値があると考え、300,000円の給与所得が実現していると解するべきであろうか、それとも、当選の可能性を視野に入れて期待値等に基づく計算により算出した価額を宝くじの価値として解するべきであろうか。この点、連番で購入した宝くじについては、最低10枚に1枚は300円の当選が確保されているのであるから、最低でも30,000円の価値はあると思われるが、仮に、算出された期待値額が350,000円であるとすれば、350,000円の給与所得と解するべきであろうか。

さらに、350,000円の価値があると仮定した場合、その50,000円(=350,000円-300,000円)部分については、所得として認識すべき金額であるといえるのであろうか。

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【第47回】

「宝くじに係る課税と所得の実現(その2)」

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

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Ⅰ 課税の時期の原則

1 権利確定主義

2 実現概念

(1) 問題意識

Ⅰ 課税の時期の原則(承前)

2 実現概念(承前)

(1) 問題意識(承前)

ここで、前回の設問について若干の考察を行ってみたい。

設問は、労務提供の対価として、宝くじ抽選券1,000枚(1枚300円)を無償で譲り受けたところ、抽選の結果、合計1,003万円の当せん金を得た場合、宝くじの支給が労務提供の対価とすれば給与所得に該当すると解されるが、給与所得の金額は300,000円(=1,000枚×300円)と1,003万円のいずれと解するべきであろうかというものであった。

この設問について、宝くじは1枚当たり購入価額300円の価値があると考え、300,000円の給与所得が実現していると解するべきであろうか、それとも、当選の可能性を視野に入れて期待値等に基づく計算により算出した価額を宝くじの価値として解するべきであろうか。この点、連番で購入した宝くじについては、最低10枚に1枚は300円の当選が確保されているのであるから、最低でも30,000円の価値はあると思われるが、仮に、算出された期待値額が350,000円であるとすれば、350,000円の給与所得と解するべきであろうか。

さらに、350,000円の価値があると仮定した場合、その50,000円(=350,000円-300,000円)部分については、所得として認識すべき金額であるといえるのであろうか。

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連載目次

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉

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筆者紹介

酒井 克彦

(さかい・かつひこ)

法学博士(中央大学)。
国税庁等での勤務を経て、現在、中央大学法科大学院教授として、法科大学院のほか税務大学校等でも教鞭をとる。
一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。

一般社団法人ファルクラム https://fulcrumtax.net/
一般社団法人アコード租税総合研究所 http://accordtax.net/

【著書】
「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈―判断に迷う《加算税免除規定》の解釈』(2015年、清文社)
「相当性」をめぐる認定判断と税務解釈―借地権課税における「相当の地代」を主たる論点として』(2013年、清文社)
『スタートアップ租税法〔第4版〕』(2021年)、『クローズアップ保険税務』(2016年)その他5冊のアップシリーズ(財経詳報社)
『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』(2021年)、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』(2019年)、『裁判例からみる税務調査』(2020年)、『裁判例からみる保険税務』(2021年、大蔵財務協会)
『レクチャー租税法解釈入門』(2015年、弘文堂)
『プログレッシブ税務会計論Ⅰ〔第2版〕、Ⅱ〔第2版〕、Ⅲ、Ⅳ』(Ⅰ、Ⅱ 2018年、Ⅲ 2019年、Ⅳ 2020年、中央経済社)
『アクセス税務通達の読み方』(2016年)、『税理士業務に活かす!通達のチェックポイント -法人税裁判事例精選20』(2017年)、『同 -所得税裁判事例精選20』(2018年)、『同-相続税裁判事例精選20』(2019年、第一法規)
『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(2019年)、その他5冊のキャッチアップシリーズ(ぎょうせい)
その他書籍・論文多数

 

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