酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第47回】
「宝くじに係る課税と所得の実現(その2)」
中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦
Ⅰ 課税の時期の原則(承前)
2 実現概念(承前)
(1) 問題意識(承前)
ここで、前回の設問について若干の考察を行ってみたい。
設問は、労務提供の対価として、宝くじ抽選券1,000枚(1枚300円)を無償で譲り受けたところ、抽選の結果、合計1,003万円の当せん金を得た場合、宝くじの支給が労務提供の対価とすれば給与所得に該当すると解されるが、給与所得の金額は300,000円(=1,000枚×300円)と1,003万円のいずれと解するべきであろうかというものであった。
この設問について、宝くじは1枚当たり購入価額300円の価値があると考え、300,000円の給与所得が実現していると解するべきであろうか、それとも、当選の可能性を視野に入れて期待値等に基づく計算により算出した価額を宝くじの価値として解するべきであろうか。この点、連番で購入した宝くじについては、最低10枚に1枚は300円の当選が確保されているのであるから、最低でも30,000円の価値はあると思われるが、仮に、算出された期待値額が350,000円であるとすれば、350,000円の給与所得と解するべきであろうか。
さらに、350,000円の価値があると仮定した場合、その50,000円(=350,000円-300,000円)部分については、所得として認識すべき金額であるといえるのであろうか。
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