公開日: 2018/10/11 (掲載号:No.289)
文字サイズ

企業結合会計を学ぶ 【第3回】「取得原価の算定方法の概要」

筆者: 阿部 光成

企業結合会計学ぶ

【第3回】

「取得原価の算定方法の概要」

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

【第2回】に引き続き、吸収合併の〔例〕を用いて、「取得」の会計処理における取得原価の算定方法の概要について解説する。

なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 吸収合併

〔例〕

次の条件による吸収合併を行った(会社法2条27号)。

 A社(存続会社、取得企業)はB社(消滅会社、被取得企業)を吸収合併した(結合分離適用指針5項(1)(2))。

 A社(存続会社)が取得企業であると決定した(企業結合会計基準10項、18~22項)。

 A社がB社から受け入れた資産及び引き受けた負債(諸資産)の時価は900であった。

 合併直前のB社の資産及び負債(諸資産)の帳簿価額は700であった。

 A社はB社の株主にA社の株式を交付した。交付されたA社の株式の時価は1,000であった。

A社(存続会社、取得企業)の吸収合併(取得)に関する会計処理は次のとおりである。
諸資産(※1) 900 払込資本(※2) 1,000 のれん(※3) 100

(※1) B社から受け入れた資産及び引き受けた負債(諸資産)の時価は900である[条件]。

(※2) 交付されたA社の株式の時価は1,000である[条件]。払込資本の内訳項目(資本金、資本準備金、その他資本剰余金)は会社法の規定による。

(※3) のれん100は、資産及び引き受けた負債(諸資産)の時価900と交付されたA社の株式の時価1,000の差額である。

 

Ⅲ 取得原価の算定

1 基本的な考え方

「取得」とされた企業結合における取得原価の算定は、一般的な交換取引に関する会計処理と整合するように、次のように規定されている(企業結合会計基準84項)。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

企業結合会計学ぶ

【第3回】

「取得原価の算定方法の概要」

 

公認会計士 阿部 光成

 

Ⅰ はじめに

【第2回】に引き続き、吸収合併の〔例〕を用いて、「取得」の会計処理における取得原価の算定方法の概要について解説する。

なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 吸収合併

〔例〕

次の条件による吸収合併を行った(会社法2条27号)。

 A社(存続会社、取得企業)はB社(消滅会社、被取得企業)を吸収合併した(結合分離適用指針5項(1)(2))。

 A社(存続会社)が取得企業であると決定した(企業結合会計基準10項、18~22項)。

 A社がB社から受け入れた資産及び引き受けた負債(諸資産)の時価は900であった。

 合併直前のB社の資産及び負債(諸資産)の帳簿価額は700であった。

 A社はB社の株主にA社の株式を交付した。交付されたA社の株式の時価は1,000であった。

A社(存続会社、取得企業)の吸収合併(取得)に関する会計処理は次のとおりである。
諸資産(※1) 900 払込資本(※2) 1,000 のれん(※3) 100

(※1) B社から受け入れた資産及び引き受けた負債(諸資産)の時価は900である[条件]。

(※2) 交付されたA社の株式の時価は1,000である[条件]。払込資本の内訳項目(資本金、資本準備金、その他資本剰余金)は会社法の規定による。

(※3) のれん100は、資産及び引き受けた負債(諸資産)の時価900と交付されたA社の株式の時価1,000の差額である。

 

Ⅲ 取得原価の算定

1 基本的な考え方

「取得」とされた企業結合における取得原価の算定は、一般的な交換取引に関する会計処理と整合するように、次のように規定されている(企業結合会計基準84項)。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

「企業結合会計を学ぶ」(全37回)

【参考記事】
「連結会計を学ぶ」(全24回)

【参考記事】
「金融商品会計を学ぶ」(全29回)

【参考記事】
「減損会計を学ぶ」(全24回)

【参考記事】
「税効果会計を学ぶ」(全24回)

筆者紹介

阿部 光成

(あべ・みつまさ)

公認会計士
中央大学商学部卒業。阿部公認会計士事務所。

現在、豊富な知識・情報力を活かし、コンサルティング業のほか各種実務セミナー講師を務める。
企業会計基準委員会会社法対応専門委員会専門委員、日本公認会計士協会連結範囲専門委員会専門委員長、比較情報検討専門委員会専門委員長を歴任。

主な著書に、『新会計基準の実務』(編著、中央経済社)、『企業会計における時価決定の実務』(共著、清文社)、『新しい事業報告・計算書類―経団連ひな型を参考に―〔全訂第2版〕』(編著、商事法務)がある。

関連書籍

プロフェッショナル グループ通算制度

公認会計士・税理士 足立好幸 著

会計税務便覧

日本公認会計士協会東京会 編

詳解 組織再編会計Q&A

公認会計士 布施伸章 著

Q&A 中小企業における「株式」の実務対応

東京中小企業投資育成株式会社 公認会計士・税理士 中野威人 著

サクサクわかる! M&Aの税務

公認会計士・税理士 佐藤信祐 著

「配当還元方式」徹底活用ガイド

税理士 山本和義 著

中小企業の事業承継

税理士 牧口晴一 著 名古屋商科大学大学院教授 齋藤孝一 著

〔目的別〕組織再編の最適スキーム

公認会計士・税理士 貝沼 彩 著 公認会計士・税理士 北山雅一 著 税理士 清水博崇 著 司法書士・社会保険労務士 齊藤修一 著

M&A 無形資産評価の実務

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 編

詳説 自社株評価Q&A

税理士 竹内陽一 編著 税理士 掛川雅仁 編著 税理士 村上晴彦 編著 税理士 堀内眞之 編著

【電子書籍版】会計税務便覧

日本公認会計士協会東京会 編

組織再編税制大全

公認会計士・税理士 佐藤信祐 著

サクサクわかる!超入門 合併の税務

公認会計士・税理士 佐藤信祐 著

「廃業」を告げられたときの対応ガイド

TOMA税理士法人 税理士 杉井俊文 著

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#