酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第107回】
「節税商品取引を巡る法律問題(その1)」
中央大学法科大学院教授・法学博士
酒井 克彦
はじめに
税理士に節税義務なるものが当然に一般的に課されているのかという素朴な疑問を出発点として、これまでいくつかの事例を基に税理士の責任を論じてきた。結論めいたことを述べるのは早計であると思われるが、税理士法1条《税理士の使命》のみから直接に節税義務なるものを導出することは難しいといわざるを得ず、個々の事案ごとで異なる、納税者と税理士との契約内容等に踏み込んで、個別に判断すべきものであるという点を指摘できよう。
もっとも、税理士の責任論を議論するのみでは、必ずしも十分とはいえない。例えば、前回取り上げた変額保険を巡っては、特に変額保険の契約者である納税者(以下「投資者」ともいう。)が想定していた節税効果を得られずに損失を被ることとなったわけであるが、そもそも、節税商品取引を巡る法律問題を整理する必要性が再確認されるべきであろう。一見すると迂遠なようにもみえるかもしれないが、そのような整理の上で、税理士の役割を考えるというアプローチも必要なのではないかと考えるのである。
そこで、今回からは、節税商品取引を巡る法律問題について焦点を当ててみたい。まずは、節税商品取引における「投資者保護」の必要性について考えてみよう。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。