酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第138回】
「消費税法における「課税仕入れの日」(その2)」
中央大学法科大学院教授・法学博士
酒井 克彦
《(その1)はこちら》
はじめに
Ⅰ 素材とする事案
1 概観
2 事実関係
(1) 本件売買契約の締結
(2) 本件売買契約締結後の経緯
3 争点
4 当事者の主張
(1) Xの主張の要旨
(2) Yの主張の要旨
5 判決の要旨
(1) 大阪地裁令和2年3月11日判決
(2) 大阪高裁令和2年11月26日判決
6 検討
(1) 「課税仕入れを行った日」と「資産の譲渡等を行った日」
6 検討(承前)
(2) 権利確定主義と無条件請求権説
消費税法30条1項1号にいう「課税仕入れを行った日」がいつを指すのかについては、同法に明確に規定されているわけではないから、解釈に委ねられることになる。この点、「課税仕入れを行った日」と「資産の譲渡等」の時期を同様の基準により判断すべきか否かについては、本件地裁判決がこれを否定するのに対して、本件高裁判決はこれを肯定している。本件高裁判決が説示しているのは、所得税法や法人税法における課税の時期の議論で中心的に展開されている無条件請求権説である。無条件請求権説に立った引渡基準が採用されているといってよかろう。
本件高裁判決は、次のように論じる。
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