公開日: 2017/02/09 (掲載号:No.205)
文字サイズ

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第50回】「限られた租税行政資源と『税務に関するコーポレートガバナンス』(その2)」

筆者: 酒井 克彦

酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第50回】

「限られた租税行政資源と『税務に関するコーポレートガバナンス』(その2)」

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

《(その1)はこちら

1 コンプライアンス違反に対する企業と国民の意識

2 「税務に関するコーポレートガバナンス」

 

3 国税庁における「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組」

(1) 事務運営指針

限られた税務行政資源の中で適正公平な課税を担保するため、特に悪質な、あるいは大口な納税者に対して資源を集中している昨今の税務行政の傾向は前回述べたとおりである。すなわち、国税庁は、税務に関するコーポレートガバナンスが良好である納税者と、そうでない納税者について、「メリハリ」をつけて対応していくこととしているのである。

以下では、平成28年7月1日より本格的に運用が開始されている、国税庁による「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組」について概観することとしよう。

税務に関するコーポレートガバナンスの取組みは、平成23年ころから始まったものであるが、5年の試行期間を経たのち、平成28年6月14日に「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組の事務実施要領の制定について」として事務運営指針が制定された。

同指針は、「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組の事務実施要領」に加えて、「税務に関するコーポレートガバナンスの確認項目の評価ポイント」(別紙1)、「自主開示について」(別紙2)と、様式編として、「税務に関するコーポレートガバナンス確認表」(様式1)、「税務に関するコーポレートガバナンス評価書」(様式2)、「自主開示事項確認事績整理票」(様式3)から構成されている。

(2) 事務実施要領における評価の流れ

事務実施要領では、調査の機会を利用した働きかけとして、(ア)税務に関するコーポレートガバナンスの確認、(イ)税務に関するコーポレートガバナンスの判定を行った上、(ウ)トップマネジメントとの面談を通じて、(エ)その判定結果の活用をすることとされている。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第50回】

「限られた租税行政資源と『税務に関するコーポレートガバナンス』(その2)」

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

《(その1)はこちら

1 コンプライアンス違反に対する企業と国民の意識

2 「税務に関するコーポレートガバナンス」

 

3 国税庁における「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組」

(1) 事務運営指針

限られた税務行政資源の中で適正公平な課税を担保するため、特に悪質な、あるいは大口な納税者に対して資源を集中している昨今の税務行政の傾向は前回述べたとおりである。すなわち、国税庁は、税務に関するコーポレートガバナンスが良好である納税者と、そうでない納税者について、「メリハリ」をつけて対応していくこととしているのである。

以下では、平成28年7月1日より本格的に運用が開始されている、国税庁による「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組」について概観することとしよう。

税務に関するコーポレートガバナンスの取組みは、平成23年ころから始まったものであるが、5年の試行期間を経たのち、平成28年6月14日に「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組の事務実施要領の制定について」として事務運営指針が制定された。

同指針は、「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組の事務実施要領」に加えて、「税務に関するコーポレートガバナンスの確認項目の評価ポイント」(別紙1)、「自主開示について」(別紙2)と、様式編として、「税務に関するコーポレートガバナンス確認表」(様式1)、「税務に関するコーポレートガバナンス評価書」(様式2)、「自主開示事項確認事績整理票」(様式3)から構成されている。

(2) 事務実施要領における評価の流れ

事務実施要領では、調査の機会を利用した働きかけとして、(ア)税務に関するコーポレートガバナンスの確認、(イ)税務に関するコーポレートガバナンスの判定を行った上、(ウ)トップマネジメントとの面談を通じて、(エ)その判定結果の活用をすることとされている。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉

◆最新テーマ

◆これまでに取り上げたテーマ

(※) タイトルをクリックするとご覧いただけます。

筆者紹介

酒井 克彦

(さかい・かつひこ)

法学博士(中央大学)。
国税庁等での勤務を経て、現在、中央大学法科大学院教授として、法科大学院のほか税務大学校等でも教鞭をとる。
一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。

一般社団法人ファルクラム https://fulcrumtax.net/
一般社団法人アコード租税総合研究所 http://accordtax.net/

【著書】
「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈―判断に迷う《加算税免除規定》の解釈』(2015年、清文社)
「相当性」をめぐる認定判断と税務解釈―借地権課税における「相当の地代」を主たる論点として』(2013年、清文社)
『スタートアップ租税法〔第4版〕』(2021年)、『クローズアップ保険税務』(2016年)その他5冊のアップシリーズ(財経詳報社)
『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』(2021年)、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』(2019年)、『裁判例からみる税務調査』(2020年)、『裁判例からみる保険税務』(2021年、大蔵財務協会)
『レクチャー租税法解釈入門』(2015年、弘文堂)
『プログレッシブ税務会計論Ⅰ〔第2版〕、Ⅱ〔第2版〕、Ⅲ、Ⅳ』(Ⅰ、Ⅱ 2018年、Ⅲ 2019年、Ⅳ 2020年、中央経済社)
『アクセス税務通達の読み方』(2016年)、『税理士業務に活かす!通達のチェックポイント -法人税裁判事例精選20』(2017年)、『同 -所得税裁判事例精選20』(2018年)、『同-相続税裁判事例精選20』(2019年、第一法規)
『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(2019年)、その他5冊のキャッチアップシリーズ(ぎょうせい)
その他書籍・論文多数

 

関連書籍

現代税法入門塾

石村耕治 編

「税関の税務調査」と消費税の更正の請求

税理士 八ッ尾順一 監修 税理士 杉澤雄一 著

適時開示からみた監査法人の交代理由

公認会計士 鈴木広樹 著

入門税法

公益社団法人 全国経理教育協会 編

図解 租税法ノート

八ッ尾順一 著

徹底解説 課税上のグレーゾーン

辻・本郷税理士法人 監修 辻・本郷税理士法人 関西審理室 編 税理士 山本秀樹 著

不正・誤謬を見抜く実証手続と監査実務

EY新日本有限責任監査法人 編

わたしは税金

公認会計士・税理士 鈴木基史 著

税法基本判例 Ⅰ

谷口勢津夫 著

先進事例と実践 人的資本経営と情報開示

EY新日本有限責任監査法人 編 EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 編

社長!税務調査の事前対策してますか

公認会計士・税理士 清原裕平 著

気候変動リスクと会社経営 はじめの一歩

公認会計士 石王丸周夫 著

ドローン・ビジネスと法規制

森・濱田松本法律事務所 AI・IoTプラクティスグループ 編 弁護士 戸嶋浩二 編集代表 弁護士 林 浩美 編集代表 弁護士 岡田 淳 編集代表

実務必須の重要税務判例70

弁護士 菊田雅裕 著

法務コンプライアンス実践ガイド

弁護士・青山学院大学法学部教授 浜辺陽一郎 著

新着情報

もっと⾒る

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#