酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第37回】
「法人税法にいう『法人』概念(その1)」
~株主集合体説について考える~
中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦
はじめに
我が国の法人税法は、シャウプ勧告に基づく昭和25年の改正以来、法人に対する法理論につき、「株主集合体説」ないし「法人擬制説」の考え方を原則的に採用している。これは、「法人税は所得税の前払いである」という考え方と関係を有する。かような点から、法人税と所得税の間に介在する配当二重課税について、我が国の税制は、最終的な個人株主への配当の段階でその排除を行うという取扱いを採用している。
現行法においては、1個の配当原資に対しては1回の法人税課税しかなされないという前提で配当控除を行うものとしている。すなわち、法人税法23条により、法人株主の段階における受取配当金を原則的に非課税とすることによって(現行法は完全子法人株式等及び関連法人株式等のいずれにも該当しない株式に係るものについては50%のみが益金不算入)、配当が法人間を移転している限り、当初の配当原資に対するもの以外には法人税を課さず、これにより個人株主段階において最終的な二重課税の調整が有効に機能するようにしている。
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