公開日: 2016/01/14 (掲載号:No.152)
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酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第37回】「法人税法にいう『法人』概念(その1)」~株主集合体説について考える~

筆者: 酒井 克彦

酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第37回】

「法人税法にいう『法人』概念(その1)」

~株主集合体説について考える~

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

はじめに

我が国の法人税法は、シャウプ勧告に基づく昭和25年の改正以来、法人に対する法理論につき、「株主集合体説」ないし「法人擬制説」の考え方を原則的に採用している。これは、「法人税は所得税の前払いである」という考え方と関係を有する。かような点から、法人税と所得税の間に介在する配当二重課税について、我が国の税制は、最終的な個人株主への配当の段階でその排除を行うという取扱いを採用している。

現行法においては、1個の配当原資に対しては1回の法人税課税しかなされないという前提で配当控除を行うものとしている。すなわち、法人税法23条により、法人株主の段階における受取配当金を原則的に非課税とすることによって(現行法は完全子法人株式等及び関連法人株式等のいずれにも該当しない株式に係るものについては50%のみが益金不算入)、配当が法人間を移転している限り、当初の配当原資に対するもの以外には法人税を課さず、これにより個人株主段階において最終的な二重課税の調整が有効に機能するようにしている。

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〈深読み◆租税法〉

【第37回】

「法人税法にいう『法人』概念(その1)」

~株主集合体説について考える~

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

はじめに

我が国の法人税法は、シャウプ勧告に基づく昭和25年の改正以来、法人に対する法理論につき、「株主集合体説」ないし「法人擬制説」の考え方を原則的に採用している。これは、「法人税は所得税の前払いである」という考え方と関係を有する。かような点から、法人税と所得税の間に介在する配当二重課税について、我が国の税制は、最終的な個人株主への配当の段階でその排除を行うという取扱いを採用している。

現行法においては、1個の配当原資に対しては1回の法人税課税しかなされないという前提で配当控除を行うものとしている。すなわち、法人税法23条により、法人株主の段階における受取配当金を原則的に非課税とすることによって(現行法は完全子法人株式等及び関連法人株式等のいずれにも該当しない株式に係るものについては50%のみが益金不算入)、配当が法人間を移転している限り、当初の配当原資に対するもの以外には法人税を課さず、これにより個人株主段階において最終的な二重課税の調整が有効に機能するようにしている。

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連載目次

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉

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筆者紹介

酒井 克彦

(さかい・かつひこ)

法学博士(中央大学)。
国税庁等での勤務を経て、現在、中央大学法科大学院教授として、法科大学院のほか税務大学校等でも教鞭をとる。
一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。

一般社団法人ファルクラム https://fulcrumtax.net/
一般社団法人アコード租税総合研究所 http://accordtax.net/

【著書】
「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈―判断に迷う《加算税免除規定》の解釈』(2015年、清文社)
「相当性」をめぐる認定判断と税務解釈―借地権課税における「相当の地代」を主たる論点として』(2013年、清文社)
『スタートアップ租税法〔第4版〕』(2021年)、『クローズアップ保険税務』(2016年)その他5冊のアップシリーズ(財経詳報社)
『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』(2021年)、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』(2019年)、『裁判例からみる税務調査』(2020年)、『裁判例からみる保険税務』(2021年、大蔵財務協会)
『レクチャー租税法解釈入門』(2015年、弘文堂)
『プログレッシブ税務会計論Ⅰ〔第2版〕、Ⅱ〔第2版〕、Ⅲ、Ⅳ』(Ⅰ、Ⅱ 2018年、Ⅲ 2019年、Ⅳ 2020年、中央経済社)
『アクセス税務通達の読み方』(2016年)、『税理士業務に活かす!通達のチェックポイント -法人税裁判事例精選20』(2017年)、『同 -所得税裁判事例精選20』(2018年)、『同-相続税裁判事例精選20』(2019年、第一法規)
『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(2019年)、その他5冊のキャッチアップシリーズ(ぎょうせい)
その他書籍・論文多数

 

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