〔会計不正調査報告書を読む〕
【第87回】
株式会社スペースバリューホールディングス
「第三者委員会調査報告書(2019年4月11日付)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【第三者委員会の概要】
〔適時開示〕
- 2019(平成31)年2月12日
「2019年3月期第3四半期決算発表の延期のお知らせ」 - 2019(平成31)年2月13日
「特別調査委員会設置に関するお知らせ」
〔開示事項の経過〕
- 2019(平成31)年3月11日
「特別調査委員会の調査状況及び第三者委員会設置に関するお知らせ」
〔第三者調査委員会〕
【委員長】
和田 芳幸(公認会計士)
【委 員】
本村 健(弁護士)
和田 希志子(弁護士)
永口 学(弁護士)
髙木 明(公認会計士)
他に調査補助者として、弁護士11名、弁護士・公認会計士1名、公認会計士23名、その他パラリーガル、翻訳、スタッフ等13名、デジタル・フォレンジック調査等の支援のために株式会社FRONTEO及びPwCビジネスアシュアランス合同会社に所属する専門家数名が調査に参加している。
〔調査期間〕
2019(平成31)年2月12日から2019(平成31)年4月10日
〔調査の目的〕
下記の事実関係の調査、調査期間に係るSVHにおける会計処理が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に違反するか否かについて、SVH取締役会への答申を行うこと
(1) SVH(子会社及び関連会社を含む)の一部の役員が調査対象事実を認識していた可能性
(2) SVHにおける調査対象事実に類似する行為の有無等(件外調査実施)
(3) SVHの監査役会が取締役会を通じて、当委員会をして一定の事項を調査せしめることを委嘱等する場合は、かかる事項等
(4) その他当委員会が調査を必要と認めた一切の行為
〔調査結果〕
- 2019(平成31)年4月11日
「第三者委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ」 - 2019(平成31)年4月15日
「日成ビルド工業株式会社に係る過年度の有価証券報告書の訂正報告書の提出及び過年度の決算短信等の訂正に関するお知らせ」 - 2019(平成31)年4月18日
「取締役の辞任及び第三者委員会の調査結果を踏まえた当社の今後の方針について」 - 2019(平成31)年4月26日
「再発防止策の策定について」
【株式会社スペースバリューホールディングスの概要】
株式会社スペースバリューホールディングス(以下「SVH」と略称する)は、2018(平成30)年10月に設立された持株会社。システム建築事業、立体駐車場事業及び総合建設事業等を展開するグループ会社の経営管理及びそれに附帯する業務を主たる事業とし、傘下に国内グループ12社、海外グループ6社を有している。資本金7,000百万円。グループ従業員数1,283名。登記簿上の本店所在地は石川県金沢市だが、東京都港区に東京本社を置く。東京証券取引所1部上場。主たる事業子会社である日成ビルド工業株式会社(以下「NBK」と略称する)は、1961(昭和36)年7月設立。システム建築事業、立体駐車場事業を主たる事業とする。SVH設立前の平成30年3月期の業績は、連結売上高76,563百万円、連結経常利益4,397百万円。SVHの上場に伴い、2018年10月上場廃止。
【調査報告書の概要】
1 第三者調査委員会設置の経緯
SVHは、調査開始から第三者委員会設置までの間に3度、適時開示を行っている。特徴的なことは、特別調査委員会が調査を開始してから約1ヶ月後に、調査の対象範囲が拡大されて、最後は、第三者委員会にほぼフリーハンドの「件外調査」を行うことを認めた点である。
時系列に沿って、問題となった事案を見ておきたい。
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