公開日: 2022/02/10 (掲載号:No.456)
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〔会計不正調査報告書を読む〕 【第122回】和光市「和光市職員による不祥事の再発防止に関する調査報告書(2021年12月22日付)」

筆者: 米澤 勝

〔会計不正調査報告書を読む〕

【第122回】

和光市

「和光市職員による不祥事の再発防止に関する調査報告書(2021年12月22日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【和光市職員による不祥事の再発防止に関する第三者委員会の概要】

〔発表資料〕

〔第三者委員会〕

【委員長】

小林 伸行(公認会計士、小林公認会計士事務所)

【副委員長】

三井 隆司(元埼玉県総務部長)

【委 員】

岩本 憲武(弁護士、弁護士法人モッキンバード法律事務所)

三原 岳(株式会社ニッセイ基礎研究所)

当初、市総務部職員課が担当した事務局業務については、対象者がヒアリングにおいて発言を躊躇するといった支障をきたす可能性があったため、令和3年6月市議会で成立した補正予算によって、事務局業務を外部のコンサルティング会社に委託し、第三者委員会事務局の実質的な独立性を確保した。

〔調査期間〕

2019年9月6日から2021年12月22日まで

〔調査目的〕

「和光市職員による不祥事の再発防止に関する第三者委員会設置要綱」第1条(趣旨)の「市職員が生活保護受給者の現金をだまし取ったとする詐欺容疑で逮捕された事件(以下「事件」という)が発生したことを重く受け止め、同様の事件が再発しないよう、市の組織体制等について客観的かつ公正な検証及び提言を行う和光市職員による不祥事の再発防止に関する第三者委員会を設置する」という規定を受け、第三者委員会は特定個人の責任追及ではなく、事件に関して第三者的視点で不正の手口、問題点の抽出を行い、再発防止策を含めた今後の対応の提言を目的としている。

〔調査結果〕

 

【事案の概要】

2019年6月13日、埼玉県警は、和光市企画部審議監の東内京一容疑者(55)を、生活保護受給者から福祉事務所が預かっていた1,200万円のうち、200万円をだまし取った詐欺容疑で逮捕した(※1)

(※1) 以下の記述は、「シルバー産業新聞2019年7月10日号」の記事をもとに構成し、一部、筆者が加筆している。

事件が発覚したのは、2018年11月頃。4年前まで生活保護を受給していた80代女性の親族から、和光市が保管する女性の現金1,200万円について問合せが寄せられ、この問合せを受けて、12月3日に市福祉事務所職員が、東内京一教育部長(2015年当時は保健福祉部長兼福祉事務所長)を保管中の生活保護受給者の現金を着服した疑いがあるとして市に内部通報(公益通報)したことをきっかけとする。

その後、和光市は12月7日に顧問弁護士2人を調査員として、東内容疑者はじめ関係者を個別に調査した結果、年明けの2019年1月23日に、当該行為を事実と認定。詐欺罪に当たるとして松本武洋市長が朝霞警察署に告発状を提出し、即日受理されていた。

和光市は、2018年末の内部通報から内部調査を経て2019年1月の市の告発、さらに4月の異動、6月13日の逮捕に至るまでの一連の状況については一切公表せず、一握りの幹部職員にしか知らされていなかった。

逮捕された6月13日付で、和光市のサイトに掲載された「市職員の不祥事について」と題する松本市長のコメントは次のとおりである。

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〔会計不正調査報告書を読む〕

【第122回】

和光市

「和光市職員による不祥事の再発防止に関する調査報告書(2021年12月22日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【和光市職員による不祥事の再発防止に関する第三者委員会の概要】

〔発表資料〕

〔第三者委員会〕

【委員長】

小林 伸行(公認会計士、小林公認会計士事務所)

【副委員長】

三井 隆司(元埼玉県総務部長)

【委 員】

岩本 憲武(弁護士、弁護士法人モッキンバード法律事務所)

三原 岳(株式会社ニッセイ基礎研究所)

当初、市総務部職員課が担当した事務局業務については、対象者がヒアリングにおいて発言を躊躇するといった支障をきたす可能性があったため、令和3年6月市議会で成立した補正予算によって、事務局業務を外部のコンサルティング会社に委託し、第三者委員会事務局の実質的な独立性を確保した。

〔調査期間〕

2019年9月6日から2021年12月22日まで

〔調査目的〕

「和光市職員による不祥事の再発防止に関する第三者委員会設置要綱」第1条(趣旨)の「市職員が生活保護受給者の現金をだまし取ったとする詐欺容疑で逮捕された事件(以下「事件」という)が発生したことを重く受け止め、同様の事件が再発しないよう、市の組織体制等について客観的かつ公正な検証及び提言を行う和光市職員による不祥事の再発防止に関する第三者委員会を設置する」という規定を受け、第三者委員会は特定個人の責任追及ではなく、事件に関して第三者的視点で不正の手口、問題点の抽出を行い、再発防止策を含めた今後の対応の提言を目的としている。

〔調査結果〕

 

【事案の概要】

2019年6月13日、埼玉県警は、和光市企画部審議監の東内京一容疑者(55)を、生活保護受給者から福祉事務所が預かっていた1,200万円のうち、200万円をだまし取った詐欺容疑で逮捕した(※1)

(※1) 以下の記述は、「シルバー産業新聞2019年7月10日号」の記事をもとに構成し、一部、筆者が加筆している。

事件が発覚したのは、2018年11月頃。4年前まで生活保護を受給していた80代女性の親族から、和光市が保管する女性の現金1,200万円について問合せが寄せられ、この問合せを受けて、12月3日に市福祉事務所職員が、東内京一教育部長(2015年当時は保健福祉部長兼福祉事務所長)を保管中の生活保護受給者の現金を着服した疑いがあるとして市に内部通報(公益通報)したことをきっかけとする。

その後、和光市は12月7日に顧問弁護士2人を調査員として、東内容疑者はじめ関係者を個別に調査した結果、年明けの2019年1月23日に、当該行為を事実と認定。詐欺罪に当たるとして松本武洋市長が朝霞警察署に告発状を提出し、即日受理されていた。

和光市は、2018年末の内部通報から内部調査を経て2019年1月の市の告発、さらに4月の異動、6月13日の逮捕に至るまでの一連の状況については一切公表せず、一握りの幹部職員にしか知らされていなかった。

逮捕された6月13日付で、和光市のサイトに掲載された「市職員の不祥事について」と題する松本市長のコメントは次のとおりである。

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連載目次

会計不正調査報告書を読む

第1回~第140回 ※クリックするとご覧いただけます。

第141回~

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

関連書籍

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