公開日: 2022/09/22 (掲載号:No.487)
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〔会計不正調査報告書を読む〕 【第130回】三協フロンテア株式会社「調査委員会調査報告書(2022年6月27日付)」

筆者: 米澤 勝

〔会計不正調査報告書を読む〕

【第130回】

三協フロンテア株式会社

「調査委員会調査報告書(2022年6月27日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【三協フロンテア株式会社調査委員会の概要】

〔適時開示〕

〔調査委員会〕

【委員長】

有田 知德(弁護士、銀座中央法律事務所)

【委 員】

須藤 修(弁護士、須藤綜合法律事務所)

野口 徹晴(弁護士、須藤綜合法律事務所)

藤田 大介(公認会計士、株式会社KPMG FAS)

藤田委員は、実施すべき業務の内容が当初の想定に反し拡大するとともに、会計に係る知見が必要となったことなどを理由に、2022年3月30日、新たに構成メンバーに加えられた。

【調査補助者】

・須藤綜合法律事務所

秋葉健志(弁護士)、高橋将志(弁護士)、佐々木悠太(弁護士)

・株式会社KPMG FAS

見越敬夫(公認会計士)、山口孝之(公認会計士)、斎田修(公認会計士)、山田昂輝、他9名

〔調査期間〕

2022年3月23日から同年6月27日まで

〔調査委員会の目的〕

(1) 当社の従業員による、①不正案件及び②原価の付け替え案件、その他これと類似し、かつ、当社の決算確定に影響する事象につき、事実調査を行うこと

(2) 上記の調査によって明らかとなった事実を前提として再発防止策の策定などを提言すること

その後、調査の過程において、プール金設定案件及び売上の先行計上案件を把握するに至ったことから、これらについても、調査を実施して明らかとなった事実を前提として再発防止策の策定などを提言することを嘱託事項に加えることとし、その旨を当社と合意した。

〔調査結果〕

 

【三協フロンテア株式会社の概要】

三協フロンテア株式会社(以下「三協」と略称する)は、1969年12月設立。ユニットハウスの製造・販売・レンタルを主たる事業とする。売上高53,346百万円、経常利益10,101百万円、資本金1,545百万円。従業員数1,511名。創業者である前会長の長妻和夫氏が代表を務める有限会社和幸興産が発行済株式の50.54%を保有する筆頭株主であり、代表取締役社長の長妻貴嗣氏(報告書上の表記はω氏、以下、長妻社長と略称する)以下の長妻一族が69%を超える株式を保有している(いずれも2022年3月期連結実績)。本店所在地は千葉県柏市。東京証券取引所スタンダード市場上場。会計監査人はEY新日本有限責任監査法人東京事務所(以下「新日本監査法人」と略称する)。

 

【調査報告書の概要】

1 調査委員会設置の経緯

三協は、2022年1月から開始された東京国税局の税務調査及び三協による調査の過程で、以下の事実が判明したため、これらの案件の実態究明とその範囲の拡大の程度を確定することを目的として、2022年3月23日に調査委員会を設置した。

(1) 2月14日に、Ⅱ支店において、営業仕入(当社の取扱商品であるユニットハウスの販売及びレンタルに係る営業活動に伴って生じる協力業者からの仕入取引のこと)の原価の付け替え案件事案が発見されたこと

(2) その後の国税局による営業担当者への面談調査及び仕入先に対する反面調査、三協が実施した営業担当者及び仕入先に対する面談調査の結果、営業担当者17名が、営業仕入につき、仕入先に依頼して、仕入取引代金の水増し請求書・架空請求書を発行させたうえ、水増し・架空請求に係る金員又は物品を支払先から受け取っていた事実(不正案件)が判明したこと

(3) 追加調査の結果、2022年3月22日の時点において、原価の付け替え案件においては、原価付け替えに協力した仕入先の数が合計49社に増加するとともに、不正案件の件数は83件及びその被害総額は19,043,128円となったこと

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〔会計不正調査報告書を読む〕

【第130回】

三協フロンテア株式会社

「調査委員会調査報告書(2022年6月27日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【三協フロンテア株式会社調査委員会の概要】

〔適時開示〕

〔調査委員会〕

【委員長】

有田 知德(弁護士、銀座中央法律事務所)

【委 員】

須藤 修(弁護士、須藤綜合法律事務所)

野口 徹晴(弁護士、須藤綜合法律事務所)

藤田 大介(公認会計士、株式会社KPMG FAS)

藤田委員は、実施すべき業務の内容が当初の想定に反し拡大するとともに、会計に係る知見が必要となったことなどを理由に、2022年3月30日、新たに構成メンバーに加えられた。

【調査補助者】

・須藤綜合法律事務所

秋葉健志(弁護士)、高橋将志(弁護士)、佐々木悠太(弁護士)

・株式会社KPMG FAS

見越敬夫(公認会計士)、山口孝之(公認会計士)、斎田修(公認会計士)、山田昂輝、他9名

〔調査期間〕

2022年3月23日から同年6月27日まで

〔調査委員会の目的〕

(1) 当社の従業員による、①不正案件及び②原価の付け替え案件、その他これと類似し、かつ、当社の決算確定に影響する事象につき、事実調査を行うこと

(2) 上記の調査によって明らかとなった事実を前提として再発防止策の策定などを提言すること

その後、調査の過程において、プール金設定案件及び売上の先行計上案件を把握するに至ったことから、これらについても、調査を実施して明らかとなった事実を前提として再発防止策の策定などを提言することを嘱託事項に加えることとし、その旨を当社と合意した。

〔調査結果〕

 

【三協フロンテア株式会社の概要】

三協フロンテア株式会社(以下「三協」と略称する)は、1969年12月設立。ユニットハウスの製造・販売・レンタルを主たる事業とする。売上高53,346百万円、経常利益10,101百万円、資本金1,545百万円。従業員数1,511名。創業者である前会長の長妻和夫氏が代表を務める有限会社和幸興産が発行済株式の50.54%を保有する筆頭株主であり、代表取締役社長の長妻貴嗣氏(報告書上の表記はω氏、以下、長妻社長と略称する)以下の長妻一族が69%を超える株式を保有している(いずれも2022年3月期連結実績)。本店所在地は千葉県柏市。東京証券取引所スタンダード市場上場。会計監査人はEY新日本有限責任監査法人東京事務所(以下「新日本監査法人」と略称する)。

 

【調査報告書の概要】

1 調査委員会設置の経緯

三協は、2022年1月から開始された東京国税局の税務調査及び三協による調査の過程で、以下の事実が判明したため、これらの案件の実態究明とその範囲の拡大の程度を確定することを目的として、2022年3月23日に調査委員会を設置した。

(1) 2月14日に、Ⅱ支店において、営業仕入(当社の取扱商品であるユニットハウスの販売及びレンタルに係る営業活動に伴って生じる協力業者からの仕入取引のこと)の原価の付け替え案件事案が発見されたこと

(2) その後の国税局による営業担当者への面談調査及び仕入先に対する反面調査、三協が実施した営業担当者及び仕入先に対する面談調査の結果、営業担当者17名が、営業仕入につき、仕入先に依頼して、仕入取引代金の水増し請求書・架空請求書を発行させたうえ、水増し・架空請求に係る金員又は物品を支払先から受け取っていた事実(不正案件)が判明したこと

(3) 追加調査の結果、2022年3月22日の時点において、原価の付け替え案件においては、原価付け替えに協力した仕入先の数が合計49社に増加するとともに、不正案件の件数は83件及びその被害総額は19,043,128円となったこと

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連載目次

会計不正調査報告書を読む

第1回~第140回 ※クリックするとご覧いただけます。

第141回~

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

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