Profession Journal » 税務・会計 » 会計 » 解説 » 監査 » 財務諸表監査 » 〔会計不正調査報告書を読む〕【第33回】株式会社東芝「第三者委員会調査報告書(平成27年7月21日付)」(前編)

〔会計不正調査報告書を読む〕【第33回】株式会社東芝「第三者委員会調査報告書(平成27年7月21日付)」(前編)

筆者:米澤 勝

文字サイズ

 

〔会計不正調査報告書を読む〕

【第33回】

株式会社東芝

「第三者委員会調査報告書(平成27年7月21日付)」
(前編)

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

株式会社東芝(以下「東芝」という)は、平成27年7月20日に第三者委員会調査報告書を受領した旨、及びその要約版(以下「要約版」という)を公表し、翌21日には約300ページの大部となった調査報告書全文(以下「全文」という)を公表するとともに、取締役代表執行役社長である田中久雄氏以下8名の取締役と相談役で元社長の西田厚聰氏の辞任が伝えられた。

この問題を、東芝が初めて公表したのは4月3日「特別委員会の設置に関するお知らせ」と題するリリースであった。それから3ヶ月半。特に7月に入ってからは、加熱するマスコミ報道、これを打ち消すような会社側のリリースが連日のように出されてきた。

本稿では、公表された調査報告書に基づき、まず前編として、東芝社内で行われてきた会計不正の手口、第三者委員会による原因分析などを概説することとし、後編(8月6日公開)では、再発防止策と調査報告書でも明らかにならなかった問題点について、検討することとしたい。

【第三者委員会調査報告書受領に至るまでの経緯】

平成27年4月3日

「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」

同年5月8日

「第三者委員会設置のお知らせ」

「業績予想の修正に関するお知らせ」

「剰余金の配当(期末)に関するお知らせ」

同年5月13日

「現時点で判明している過年度修正額見込み及び第三者委員会設置に関する補足説明」

同年5月15日

「第三者委員会の委員の選任等に関するお知らせ」

同年5月22日

「第三者委員会の調査対象に関するお知らせ」

同年5月29日

「第176期有価証券報告書及び第177期第1四半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出に関するお知らせ」

同年6月12日

「自主チェック結果、特別調査委員会の調査概要及び第三者委員会への委嘱事項との関係についてのお知らせ」

同年7月17日

「第三者委員会報告書の開示予定等に関するお知らせ」

同年7月20日

「第三者委員会調査報告書の受領及び判明した過年度決算の修正における今後の当社の対応についてのお知らせ」

同年7月21日

「第三者委員会の調査報告書全文の公表及び当社の今後の対応並びに経営責任の明確化についての知らせ」

「代表執行役の異動に関するお知らせ」

 

【第三者委員会の概要】

〔適時開示(不正発覚)〕

  • 2015(平成27)年4月3日
    「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」
  • 同年5月8日
    「第三者委員会設置のお知らせ」

〔第三者委員会〕

委員長:上田 廣一(弁護士)

委 員:松井 秀樹(弁護士)

委 員:伊藤 大義(公認会計士)

委 員:山田 和保(公認会計士)

〔調査期間〕

2015(平成27)年5月15日から7月20日まで

〔委嘱事項(当初)〕

工事進行基準に係る会計処理の適正性、その他東芝が本委員会に委嘱する事項の調査を行うとともに、当該調査の対象となった会計処理が適正性を欠くと判断した場合には、その発生原因の究明及び再発防止策の提言を行うこと

〔委嘱事項(追加後)〕

(1) 工事進行基準案件に係る会計処理

(2) 映像事業における経費計上に係る会計処理

(3) ディスクリート、システムLSIを主とする半導体事業における在庫の評価に係る会計処理

(4) パソコン事業における部品取引等に係る会計処理

〔適時開示〕

 

【株式会社東芝の概要】

株式会社東芝は、1875(明治8)年創業。日本を代表する総合電機メーカー。売上高6兆5,000億円余。営業利益2,900億円余、総資産額6兆2,400億円、純資産額1兆6,500億円を超える企業規模を誇り、連結子会社は598社に上る。従業員数約20万名(平成27年3月期)。本店所在地は東京都港区。東証、名証1部上場。

 

【調査報告書により判明した事実】

1 発覚の経緯

東芝は、2015年2月12日、証券取引等監視委員会から金融商品取引法第26条に基づく報告命令を受け、工事進行基準案件等について開示検査を受けた。3月下旬、2013年度の一部インフラ関連の工事進行基準案件に係る会計処理について、調査を必要とする事項が判明し、4月3日、取締役会長を委員長とする特別調査委員会を設置した。

特別調査委員会による調査の過程で、工事進行基準案件の問題以外にも、更なる調査を必要とする事項が判明したため、5月8日、調査結果に対するステークホルダーからの信頼性をさらに高める必要から、東芝と利害関係を有しない中立・公正な外部の専門家から構成される第三者委員会による調査を行うことを決めたものである。

なお、証券取引等監視委員会の開示検査のきっかけは、東芝関係者による告発であったとする一部報道もあったが、調査報告書では触れられていない。


○記事全文をご覧いただくには、プレミアム会員としてのログインが必要です。
○プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

○プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

○一般会員の方は、下記ボタンよりプレミアム会員への移行手続きができます。

○非会員の皆さまにも、期間限定で閲覧していただける記事がございます(ログイン不要です)。
こちらからご覧ください。

連載目次

会計不正調査報告書を読む

第1回~第40回 ※クリックするとご覧いただけます。

このエントリーをはてなブックマークに追加

筆者紹介

  • 米澤 勝

    (よねざわ・まさる)

    税理士・公認不正検査士(CFE)

    1997年12月 税理士試験合格
    1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
    1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
    2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
    2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

    【著書】

    ・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

    ・『架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2011)

    ・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

    【寄稿】

    ・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

    ・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

    【セミナー・講演等】

    一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
    「会計不正の早期発見
    ――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

    公益財団法人日本監査役協会主催
    情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

    株式会社プロフェッションネットワーク主催
    「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

関連書籍

Profession Journal » 税務・会計 » 会計 » 解説 » 監査 » 財務諸表監査 » 〔会計不正調査報告書を読む〕【第33回】株式会社東芝「第三者委員会調査報告書(平成27年7月21日付)」(前編)

Copyright ©2012- Profession Network Co.,Ltd. All Rights Reserved.

Scroll to top
Go to home