〔会計不正調査報告書を読む〕
【第89回】
株式会社MTG
「第三者委員会調査報告書(2019年7月11日付)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【第三者委員会の概要】
〔適時開示〕
- 2019(令和元)年5月13日
「当連結子会社における不適切な会計処理の疑義の判明に関するお知らせ」 - 同年5月14日
「第三者委員会設置に関するお知らせ」 - 同年6月13日
「(開示事項の経過)第三者委員会による調査の経過に関するお知らせ」
〔第三者委員会〕
【委員長】
伊藤 尚(弁護士)
【委 員】
井上 虎喜(公認会計士)
芦澤 美智子(横浜市立大学准教授)
他に調査補助者として、EY新日本有限責任監査法人所属の公認会計士、阿部・井窪・片山法律事務所所属の弁護士など、合計82名が選任され、第三者委員会の調査実務を補助している。
〔調査期間〕
2019(令和元)年5月14日から2019(令和元)年7月11日
〔調査の目的〕
① MTG上海における不正売上取引の疑義及び会計監査人ヘの虚偽説明並びに不適切な会計処理の疑義に関する事実関係の調査
② 上海事案の類似事象の存否・内容の調査
③ 上記①②へのMTGの組織的関与の有無
④ 上記①②による連結財務諸表への影響額の確定
⑤ 上記①②の調査結果の報告及び発生原因の究明並びに再発防止策の提言
〔調査結果〕
- 2019(令和元)年7月11日
「第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」 - 同年7月12日
「第三者委員会の調査報告書公表及び今後の対応に関するお知らせ」
「過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度の決算短信等の訂正に関するお知らせ」 - 同年7月18日
「再発防止策の策定について」
【株式会社MTGの概要】
株式会社MTG(以下「MTG」と略称する)は、1996年1月設立。設立時の社名は株式会社エムティージープレイズ(2005年9月から、現社名)。グローバル事業、リテールマーケティング事業などを事業領域とする。国内連結子会社8社、海外連結子会社12社及び持分法適用会社1社を有している。売上高60,465百万円、経常利益8,882百万円、資本金166億円。従業員数1,205名(いずれも決算修正前の2018年9月期、連結ベース)。本店所在地は愛知県名古屋市。東京証券取引所マザーズ市場上場(2018年7月)。会計監査人は有限責任監査法人トーマツ(以下「トーマツ」と略称する)。2019年5月に、不適切な会計処理の疑義が判明したのは、愛姆緹姫(上海)商貿有限公司(以下「MTG上海」と呼ぶ)における特定の売上取引であった。MTG上海は、トーマツと業務提携関係にない中国の会計事務所と監査契約を締結し、中国会計準則に基づき作成された財務諸表に対して法定監査を受けている(調査報告書p.23)。
【調査報告書の概要】
1 第三者委員会設置の経緯
MTGが2019年5月10日に発表した2019年9月期第2四半期決算短信について、トーマツによる審査の過程で、連結子会社であるMTG上海における同会計期間の特定の取引先に対する売上取引の収益認識方法(一括売上認識又は消化売上認識)について議論となり、トーマツがMTG上海に直接赴いて追加のレビュー手続を実施したところ、MTG上海が四半期レビュー期間中にトーマツに対して説明していた当該売上取引に関する会計処理の前提事実とは異なる事象が判明し、当該売上取引に関し不適切な会計処理の疑義が生じたとして、5月13日付で適時開示を行うとともに、翌日、取締役会で第三者委員会の設置を決議した。
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