〔会計不正調査報告書を読む〕
【第35回】
北越紀州製紙株式会社
「調査委員会調査報告書(平成27年5月28日付)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【調査委員会の概要】
〔適時開示(不正発覚)〕
- 2015(平成27)年5月12日
「平成27年3月期決算短信(連結)の発表延期に関するお知らせ」
〔調査委員会〕
委員長:糸魚川 順(社外監査役・独立役員)
副委員長:松本 和道(常務取締役、チーフ・コンプライアンス・オフィサー)
委 員:鈴木 信里(社外監査役、独立役員)
委 員:堀川 淳一(常勤監査役)
〔調査期間〕
2015(平成27)年5月12日から5月28日まで
〔調査目的〕
(1) 不正行為に関する事実関係および問題点の調査分析
(2) 過年度の会計処理の解明と訂正
(3) 同様の行為が他のグループ会社において行われていないか否かの確認
(4) 再発防止策の検討および提言
〔適時開示〕
- 2015(平成27)年5月28日
「業績予想の修正に関するお知らせ」
「平成27年3月期決算短信(連結)の発表期日並びに過年度決算数値の訂正による影響の見込み額等について」
「当社連結子会社における元従業員による不正行為に係る調査結果及び再発防止策について」 - 同月29日
「平成27年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)」
【北越紀州製紙株式会社の概要】
北越紀州製紙株式会社(以下「北越紀州製紙」と略称する)は、1907(明治40)年4月設立。製紙業界5位の売上高を有する。連結売上高228,400百万円、連結経常利益11,462百万円(数字はいずれも平成27年3月期)。従業員数4,394名。本店所在地、新潟県長岡市。東京証券取引所1部上場。
今回不正が発覚した北越トレイディング株式会社(北越トレイディング株式会社「会社概要」)(以下「HTC」と略称する)は昭和37年10月設立。旧社名は北越不動産株式会社。資本金100百万円で、本店所在地は新潟県長岡市。北越紀州製紙の100%子会社で、不動産売買・仲介、長岡文化自動車学校の運営、自動車の販売・整備、石油燃料の販売などを行っている。
【調査報告書のポイント】
1 調査に至った経緯――不正行為者休暇中の電話
平成27年5月1日、総務部長X(以下「X」という)の休暇中、A銀行からHTCに対し、当座貸越契約の更新依頼の電話があり、電話を受けた課長はこれを不審に思い、HTC社長に報告した。また、当該課長は、郵便物の中にHTCとは取引のないB銀行発信のものを見つけ、開封したところ、HTCの返済予定表が入っていた。
5月6日、出社したXに直接確認したところ、XはHTCの資金を着服したことを告白した。内部調査の結果、過年度決算に訂正事項を生じる可能性が高いことが判明し、平成27年3月期決算短信(連結)の公表を延期するとともに、社内調査委員会(以下「当委員会」という)を設置して詳細な調査を行うことを決定したものである。
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