〔会計不正調査報告書を読む〕
【第39回】
株式会社SJI
「社外委員会検証報告書(平成27年8月7日付)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
株式会社東芝の会計不正事件は、役員の責任をどう追及するかという局面を迎えているところであるが、昨年10月、元代表取締役による資金流用問題が表面化した株式会社SJIにおいては、社外委員会による役員の法的責任の認定、元取締役との間の和解が公表されている。
今回は、SJI第三者委員会による事実認定、東京証券取引所・証券取引等監視委員会の処分、SJI社外委員会による責任認定といった一連の流れを検証したい。
【調査委員会の概要】
〔適時開示(不正発覚)〕
- 2014(平成26)年10月10日
「第三者委員会設置に関するお知らせ」
〔第三者委員会〕
委員長:根津 宏行(弁護士)
委 員:
早川 真崇(弁護士)
青島 信吾(公認会計士・税理士)
〔適時開示〕
- 2015(平成27)年1月30日
「第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」
「第三者委員会の調査報告に係る再発防止策について」
〔社外委員会〕
委員長:宗像 紀夫(弁護士)
委 員:
堀内 捷三(弁護士)
根津 宏行(弁護士)
〔設置の趣旨〕
コンプライアンス分野に精通した外部専門家から構成される社外委員会を設置し、総合的かつ包括的なコンプライアンス充実・強化に向けた具体的方策について広範にご助言をいただき、具体的方策の実施状況についてご検証いただくとともに、再発防止に向けた李取締役を始めとする経営陣の取組状況を検証し、厳正なご意見をいただく予定です。(1月30日付リリースより引用)
〔適時開示〕
- 2015(平成27)年8月7日
「社外委員会からの検証報告書の受領に関するお知らせ」 - 同年8月14日
「社外委員会の検証結果を受けた当社の対応等について」 - 同年8月31日
「元取締役に対する損害賠償請求にかかる合意書の締結および特別利益の計上見込みに関するお知らせ」
【株式会社SJIの概要】
株式会社SJI(以下「SJI」と略称する)は、1989(平成元)年7月創業の情報サービス事業会社。旧社名は株式会社サン・ジャパン。連結売上高30,340百万円、連結経常利益251百万円(数字はいずれも平成27年3月期)。従業員数1,444名。本店所在地、東京都品川区。JASDAQ上場。
【第三者委員会調査報告書のポイント】
1 元代表取締役による架空取引等
第三者委員会は、取引発生時に代表取締役社長であった李堅氏(第三者委員会設置と同じ日に代表取締役を辞任。以下「李氏」と略称する)が部下に指示して行った取引の中に、取引の実態を伴わない李氏個人に対する資金融通があると認定した。
また、李氏が、正式な社内手続・承認を得ることなく、債務保証を行い、あるいは融資を受けたことにより、簿外の債務保証・債務が存在していたことを認定した。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。