〔会計不正調査報告書を読む〕
【第97回】
ネットワンシステムズ株式会社
「特別調査委員会中間報告書(2020年2月13日付)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【特別調査委員会の概要】
〔適時開示〕
- 2019年12月13日
「特別調査委員会設置に関するお知らせ」
〔特別調査委員会〕
【委員長】
濵 邦久(弁護士 元東京高等検察庁検事長)
【委 員】
芝 昭彦(弁護士)
岩田 知孝(弁護士 公認会計士)
特別調査委員会は、和田法律事務所及びTMI総合法律事務所所属の弁護士22名に調査補助を依頼するとともに、デジタル・フォレンジック等について株式会社KPMG FASに所属する専門家を起用した。
〔調査期間〕
2019年12月13日から2020年2月6日まで(中間報告までの期間)
その後も調査は継続して行われている。
〔委嘱事項〕
東京国税局による税務調査で、納品の事実が確認できない取引がある旨の疑義があるとの指摘を受けたことから、社内調査を行った結果、事実経緯の正確な把握には、取引先を含めたより広範かつ深度ある調査が必要な状況にあるとの認識を持つに至り、特別調査委員会を設置することを決定した。
その目的は、納品の事実が確認できない取引及びこれに類似する不正の有無・態様の確認並びに原因究明等、連結財務諸表への影響額の算定及び判明した事実を踏まえた再発防止策に関する助言である。
〔調査結果〕
- 2020年1月22日
「本日のマスコミ報道に関して」 - 同年2月13日
「特別調査委員会の中間報告書受領及び公表に関するお知らせ」 - 同月14日
「決算発表日の再延期に関するお知らせ」
「2020年3月期 第3四半期業績予想、及び、2020年3月期 通期業績予想の修正に関するお知らせ」
【ネットワンシステムズ株式会社の概要】
ネットワンシステムズ株式会社(以下「ネットワン」と略称する)は、1988(昭和63)年2月設立。情報インフラ構築と関連サービスの提供を主たる事業とする。売上高181,935百万円、経常利益13,258百万円、資本金12,279百万円、従業員数2,294名(いずれも訂正前2019年3月期実績)。本店所在地は東京都千代田区。東京証券取引所1部上場。会計監査人は有限責任監査法人トーマツ(以下「トーマツ」と略称する)。
【調査報告書の概要】
2019年12月13日、独立系のIT企業2社が、ほぼ同じような内容のリリースを出した。1社は本稿で取り上げたネットワンで、もう1社は日鉄ソリューション株式会社(以下「NSOL」と略称する)である。その内容は、「国税局による税務調査の過程で、取引の実在性に疑義が指摘された」ことを理由に、特別調査委員会を設置するというものであった。
2つのリリースの本当の意味がわかったのは、翌年1月18日、株式会社東芝による連結子会社における不適切会計の公表と、その後、マスコミ各社の報道により、不適切会計の取引先として、ネットワンとNSOLの両社が判明したという記事(同月22日)であった。
IT業界で再び発覚した架空循環取引による売上高と利益の水増し。架空循環取引を主導したとされるネットワン特別調査委員会の中間報告書をベースに、本稿執筆時までに判明した取引の概要について、検証したい。
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