〔会計不正調査報告書を読む〕
【第104回】
学校法人明浄学院
「第三者委員会調査報告書(2019年12月30日付)」、
株式会社プレサンスコーポレーション
「外部経営改革委員会調査報告書(2020年3月1日付)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【横領事件の概要】
2019年12月5日、学校法人明浄学院(以下「明浄学院」と略称する)の元理事長大橋美枝子氏(以下「元理事長」と略称する)と明浄学院の元理事で、株式会社プレサンスコーポレーション(以下「プレサンス」と略称する)の前代表取締役山岸忍氏(以下「山岸前社長」と略称する)ら6人が、業務上横領容疑で、大阪地方検察庁に逮捕されるというニュースが伝えられた。本稿では、100年の歴史を有する学校法人から21億円という巨額の資金を横領したとされる事件を調査した2つの委員会の調査報告書を検討したい。新聞報道によれば、元理事長はかねてから学校経営に意欲を示しており、多額の資金提供によって、2016年4月に明浄学院の副理事長に就任し、翌年には理事長となる。明浄学院の経営に参画するための巨額の資金(18億円)を元理事長に提供していたのが、山岸前社長であり、山岸前社長も、その後、明浄学院の理事に就任している。
2017年7月、明浄学院は、運営する高等学校の敷地の一部について、株式会社ピア・グレース(以下「ピア・グレース」と略称する)を通じて、プレサンスに売却するため、ピア・グレースとの間で売買契約を締結して21億円の手付金を受け取った。この手付金は、元理事長の指示により、株式会社サン企画(以下「サン企画」と略称する)に預けられたが、この資金が、株式会社ティー・ワイエフを通じて山岸前社長に還流しているものと見られている。
新聞報道及び今回取り上げた調査報告書をもとに、契約関係、資金の流れを図示すると、次のようであったと考えられる。
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