〔会計不正調査報告書を読む〕
【第133回】
アルテリア・ネットワークス株式会社
「特別調査委員会調査報告書(開示版)(2022年8月10日付)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【アルテリア・ネットワークス株式会社特別調査委員会の概要】
〔適時開示〕
- 2022年6月9日
「当社従業員の逮捕について」 - 同年6月13日
「調査委員会の設置及び第7回定時株主総会の継続会の開催方針に関するお知らせ」
〔特別調査委員会〕
【委員長】
本村 健(アルテリア社外監査役、弁護士、岩田合同法律事務所)
【委 員】
和田 芳幸(公認会計士、株式会社KIC代表取締役)
中村 孝裕(アルテリア常務執行役員CAO)
【調査補助者】
・和田倉門法律事務所
高田剛(弁護士)、鄭一志(弁護士)、我妻崇明(弁護士)、山城在生(弁護士)、三木隼輝(弁護士)
・岩田合同法律事務所
齋藤弘樹(弁護士)、丸山英明(弁護士)、豊岡啓人(弁護士)、土井真波(公認不正検査士)
・CPAパートナーズ株式会社
片岡宏介(公認会計士・税理士)
【デジタルフォレンジック実施のための補助者】
・PwCアドバイザリー合同会社及び株式会社foxcale
・事務局:コーポレートガバナンス推進室及び法務・コンプライアンス統括部
〔調査期間〕
2022年6月10日から同年8月4日まで
〔特別調査委員会への委嘱事項〕
(1) アルテリア従業員A氏の逮捕(本件)に関する事実関係の調査
(2) 本件に類似する事象の有無の調査
(3) 本件が生じた原因・背景の究明
(4) 再発防止策等の提言
〔調査結果〕
- 2022年8月10日
「特別調査委員会の調査報告書の受領及び今後の対応方針について」 - 同年8月15日
「特別調査委員会による調査結果を受けた当社決算への影響及び2022年3月期有価証券報告書の提出完了に関するお知らせ」 - 同年9月7日
「再発防止策及び関係役員の処分に関するお知らせ」
【アルテリア・ネットワークス株式会社の概要】
アルテリア・ネットワークス株式会社(以下「アルテリア」と略称する)は、1997年11月、丸紅株式会社が設立したグローバルアクセス株式会社が、複数回の社名変更、複数の合併を経て、2016年7月1日から現体制。電気通信事業法に基づく電気通信事業を主たる事業内容とする。売上高55,402百万円、営業利益9,541百万円、資本金5,150百万円。従業員数787名(2022年3月期連結実績)。丸紅株式会社が発行済株式の50.11%を所有する筆頭株主である。本店所在地は東京都港区。東京証券取引所プライム市場上場。会計監査人はEY新日本有限責任監査法人東京事務所。
【特別調査委員会調査報告書の概要】
1 特別調査委員会設置の経緯
(1) アルテリア従業員A氏の逮捕
2022年6月8日、アルテリアの従業員であるA氏が、P社(新聞報道などから、株式会社NTTドコモであることが判明しているが、本稿では、調査報告書の表記に従い、「P社」とする)から接続料金を不正に取得していたとして、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織犯罪処罰法)違反(組織的詐欺)の容疑により警察に逮捕されるとともに、一部報道機関により、被疑事実は、通信事業者の間で通話時間に応じて支払われる接続料金(アクセスチャージ)の仕組みを悪用して、意図的な機械発信を生成し、P社に当該着信にかかるアクセスチャージを支払わせたというものであり、A氏のほか、アルテリアと取引のあるA社(報告書の内容から、株式会社ソフィアホールディングスの連結子会社であるソフィアデジタル株式会社(SDI)であることが判明しているため、以下の表記は、「SDI社」とする)の役員を含む十数名が逮捕されたとの報道がされた。
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