公開日: 2025/11/13 (掲載号:No.644)
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〔会計不正調査報告書を読む〕 【第176回】株式会社創建エース「特別調査委員会調査報告書(開示版)(2025年6月30日付)」

筆者: 米澤 勝

【会計不正調査報告書を読む】

【第176回】

株式会社創建エース

「特別調査委員会調査報告書(開示版)(2025年6月30日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【株式会社創建エース特別調査委員会の概要】

【適時開示】

【特別調査委員会の構成】

【委員長】

大下良仁(弁護士 善国寺坂法律事務所)

【委 員】

瀧澤 輝(弁護士 たきざわ法律事務所)

渡辺 治(弁護士 新樹法律事務所)

佐々木洋平(公認会計士 佐々木公認会計士事務所)

村田茂也(公認会計士 村田茂也公認会計士事務所)

【調査補助者】

井出浩二(公認会計士 井出浩二公認会計士事務所)

影平真也(公認会計士 影平公認会計士事務所)

小嶋良樹(公認会計士 小嶋公認会計士事務所)

今西紘子(公認会計士 今西紘子公認会計士事務所)

小林純也(公認会計士 小林純也公認会計士事務所)

川中宏介(公認会計士 川中宏介公認会計士事務所)

古澤 卓(公認会計士 古澤公認会計士事務所)

坪田亮介(公認会計士 坪田公認会計士事務所)

【デジタル・フォレンジック調査】

株式会社foxcale

〔調査期間〕

2025年3月19日から6月30日まで

〔特別調査委員会の目的〕

(1) 連結子会社におけるA社との取引の実在性及びA社に対する債権の資産性について疑義(本件疑義)に関する事実関係の調査及び会計処理の適切性・妥当性についての検討

(2) 本件疑義に類似、関係する事象の事実確認

(3) 調査の結果、判明した事象が連結財務諸表に与える影響

(4) 本件疑義の原因分析、適切な会計処理及び再発防止策の提言

(5) その他、当委員会が必要と認めた事項

〔調査結果〕

 

【株式会社創建エースの概要】

株式会社創建エース(以下「創建エース」と略称する)は、1965(昭和40)年設立。設立時の社名は高杉建設株式会社。営業活動の休止期間を経て、1996年10月、キーイングホーム株式会社に商号変更。1997年11月、大阪証券取引所市場第2部に上場。

その後、東邦グローバルアソシエイツ株式会社、クレアホールディングス株式会社、中小企業ホールディングス株式会社への商号変更を経て、2023年6月、現社名へ商号変更するとともに、経営陣を刷新して、西山由之氏が代表取締役社長となる。創建エースが事業持ち株会社となり、国内連結子会社4社を有し、連結子会社によって、建設事業、コスメ衛生関連事業及びその他の事業を営んでいる。

連結売上高1,580百万円、連結経常損失△1,514百万円、資本金10,966百万円。従業員数39名(訂正前の2024年3月期連結実績)。本店所在地は東京都新宿区。東京証券取引所スタンダード市場上場。会計監査人は、公認会計士柴田洋及び公認会計士大瀧秀樹。

疑義の対象となったA社から受注したとされる工事取引は、創建エースの連結子会社であるクレア建設株式会社(以下「クレア建設」と略称する)及び巧栄ビルド株式会社(以下、「巧栄ビルド」と略称する)の2社が、2022年3月期第2四半期から2024年3月期第1四半期において売上高として計上した537件である。創建エースの訂正前2024年3月期の有価証券報告書によれば、クレア建設は、「債務超過の状況にあり、債務超過の額は935,780千円」であると記載されている。

一方、巧栄ビルドについては、完成工事高1,293,298千円、経常利益△1,044,293千円などの損益情報とともに、「債務超過の状況にあり、債務超過の額は357,804千円」であると記載されている。また、創建エースの「第61回定時株主総会招集ご通知」には、クレア建設は「休眠会社の状態」であるため、重要な子会社から除外しているとの記載がある。

 

【特別調査委員会による調査報告書の概要】

1 特別調査委員会設置の経緯

創建エースは、2024年10月1日に証券取引等監視委員会開示検査課による金融商品取引法に基づく開示検査を受け、創建エース連結子会社において2021年9月から2023年6月末日までのA社との取引の実在性及びA社に対する債権の資産性について疑義(本件疑義)がある旨の指摘を受けた。

2025年3月7日に証券取引等監視委員会より本件疑義について外部専門家による調査の要請を受け、創建エースは、連結子会社の本件疑義における会計処理に関する事実関係の調査、業績への影響の把握及び原因の究明が必要であると判断し、中立・公正且つ独立した調査を行うため、利害関係を有しない外部専門家によって構成される特別調査委員会を2025年3月19日に設置し、調査を実施することとした。

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【会計不正調査報告書を読む】

【第176回】

株式会社創建エース

「特別調査委員会調査報告書(開示版)(2025年6月30日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【株式会社創建エース特別調査委員会の概要】

【適時開示】

【特別調査委員会の構成】

【委員長】

大下良仁(弁護士 善国寺坂法律事務所)

【委 員】

瀧澤 輝(弁護士 たきざわ法律事務所)

渡辺 治(弁護士 新樹法律事務所)

佐々木洋平(公認会計士 佐々木公認会計士事務所)

村田茂也(公認会計士 村田茂也公認会計士事務所)

【調査補助者】

井出浩二(公認会計士 井出浩二公認会計士事務所)

影平真也(公認会計士 影平公認会計士事務所)

小嶋良樹(公認会計士 小嶋公認会計士事務所)

今西紘子(公認会計士 今西紘子公認会計士事務所)

小林純也(公認会計士 小林純也公認会計士事務所)

川中宏介(公認会計士 川中宏介公認会計士事務所)

古澤 卓(公認会計士 古澤公認会計士事務所)

坪田亮介(公認会計士 坪田公認会計士事務所)

【デジタル・フォレンジック調査】

株式会社foxcale

〔調査期間〕

2025年3月19日から6月30日まで

〔特別調査委員会の目的〕

(1) 連結子会社におけるA社との取引の実在性及びA社に対する債権の資産性について疑義(本件疑義)に関する事実関係の調査及び会計処理の適切性・妥当性についての検討

(2) 本件疑義に類似、関係する事象の事実確認

(3) 調査の結果、判明した事象が連結財務諸表に与える影響

(4) 本件疑義の原因分析、適切な会計処理及び再発防止策の提言

(5) その他、当委員会が必要と認めた事項

〔調査結果〕

 

【株式会社創建エースの概要】

株式会社創建エース(以下「創建エース」と略称する)は、1965(昭和40)年設立。設立時の社名は高杉建設株式会社。営業活動の休止期間を経て、1996年10月、キーイングホーム株式会社に商号変更。1997年11月、大阪証券取引所市場第2部に上場。

その後、東邦グローバルアソシエイツ株式会社、クレアホールディングス株式会社、中小企業ホールディングス株式会社への商号変更を経て、2023年6月、現社名へ商号変更するとともに、経営陣を刷新して、西山由之氏が代表取締役社長となる。創建エースが事業持ち株会社となり、国内連結子会社4社を有し、連結子会社によって、建設事業、コスメ衛生関連事業及びその他の事業を営んでいる。

連結売上高1,580百万円、連結経常損失△1,514百万円、資本金10,966百万円。従業員数39名(訂正前の2024年3月期連結実績)。本店所在地は東京都新宿区。東京証券取引所スタンダード市場上場。会計監査人は、公認会計士柴田洋及び公認会計士大瀧秀樹。

疑義の対象となったA社から受注したとされる工事取引は、創建エースの連結子会社であるクレア建設株式会社(以下「クレア建設」と略称する)及び巧栄ビルド株式会社(以下、「巧栄ビルド」と略称する)の2社が、2022年3月期第2四半期から2024年3月期第1四半期において売上高として計上した537件である。創建エースの訂正前2024年3月期の有価証券報告書によれば、クレア建設は、「債務超過の状況にあり、債務超過の額は935,780千円」であると記載されている。

一方、巧栄ビルドについては、完成工事高1,293,298千円、経常利益△1,044,293千円などの損益情報とともに、「債務超過の状況にあり、債務超過の額は357,804千円」であると記載されている。また、創建エースの「第61回定時株主総会招集ご通知」には、クレア建設は「休眠会社の状態」であるため、重要な子会社から除外しているとの記載がある。

 

【特別調査委員会による調査報告書の概要】

1 特別調査委員会設置の経緯

創建エースは、2024年10月1日に証券取引等監視委員会開示検査課による金融商品取引法に基づく開示検査を受け、創建エース連結子会社において2021年9月から2023年6月末日までのA社との取引の実在性及びA社に対する債権の資産性について疑義(本件疑義)がある旨の指摘を受けた。

2025年3月7日に証券取引等監視委員会より本件疑義について外部専門家による調査の要請を受け、創建エースは、連結子会社の本件疑義における会計処理に関する事実関係の調査、業績への影響の把握及び原因の究明が必要であると判断し、中立・公正且つ独立した調査を行うため、利害関係を有しない外部専門家によって構成される特別調査委員会を2025年3月19日に設置し、調査を実施することとした。

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連載目次

会計不正調査報告書を読む

第1回~第150回 ※クリックするとご覧いただけます。

第151回~

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

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