〔会計不正調査報告書を読む〕
【第178回】
株式会社旅工房
「特別調査委員会調査報告書(公表版)(2025年8月29日付)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【株式会社旅工房外部調査委員会の概要】
【適時開示】
- 2025年6月5日「雇用調整助成金および緊急雇用安定助成金の受給に関する特別調査委員会設置のお知らせ」
【特別調査委員会の構成】
【委員長】
三宅英貴(弁護士 アンダーソン・毛利・友常法律事務所 外国法共同事業)
【委 員】
藤田大介(公認会計士 株式会社KPMG Forensic & Risk Advisory)
大西良平(弁護士 アンダーソン・毛利・友常法律事務所 外国法共同事業)
野村拓也(弁護士 旅工房社外監査役・未来創造弁護士法人)
【調査補助者】
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 外国法共同事業
弁護士 髙橋将希、北泉隆之、重枝綾音、古沢亮介
株式会社KPMG Forensic & Risk Advisory
米国公認会計士 水上浩、奥成 一平
公認会計士 石坂穏、折戸伸樹、綾浩平、野崎真樹、伊藤希珠、岩本早葵子、楊宗翰 他10名
〔調査期間〕
2025年6月5日から8月28日まで
〔特別調査委員会の目的〕
(1) 旅工房が受給した雇用調整助成金等に関して、受給申請の内容について精査を要する疑義(本件事案)」に関する事実関係の調査
(2) 本件事案に類似する事案の存否及び事実関係の調査
(3) 上記(1)及び(2)に旅工房社の連結財務諸表等への影響額の確認
(4) 発生原因の分析と再発防止策の策定
(5) その他、当委員会が必要と認めた事項
〔調査結果〕
【株式会社旅工房の概要】
株式会社旅工房(報告書上は「TBK社」、以下「旅工房」と略称する)は、1994(平成6)年4月設立の旅行代理店。設立当初は海外航空券の取扱いを目的としていたが、2004年11月から国内旅行の取扱いも開始。新型コロナウイルス感染症の影響を受けていない
2020年3月期の売上高は33,355百万円、経常利益は138百万円であったが、その後、2021年3月期から2024年6月期(決算変更により15ヶ月決算)まで、4期連続して経常損失となっている。2024年6月期の売上高は3,342百万円、経常損失353百万円、資本金3,358百万円、従業員数96名(いずれも訂正前の2024年6月期連結実績)。
本店所在地は東京都豊島区。2017年4月、東京証券取引所マザーズ市場上場、2022年4月グロース市場へ移行。
会計監査人は2022年3月期まで、EY新日本有限責任監査法人東京事務所(以下、「新日本監査法人」と略称する)。2023年3月期及び2024年6月期はやまと監査法人。2024年9月25日付で、太陽有限責任監査法人が会計監査人に就任。
【調査報告書の概要】
1 特別調査委員会設置の経緯
旅工房は、東京労働局から、2025年3月11日付で、「雇用調整助成金及び緊急雇用安定助成金受給事業主様への自主調査のお願い」と題する書面を受領したことを契機として、自主的に社内調査を開始したところ、その過程において、実際の勤務状況と受給申請の内容に齟齬が生じており、旅工房が受給した雇用調整助成金及び緊急雇用安定助成金(以下「雇用調整助成金等」という)累計802,230,837円(判定基礎期間は、2020年3月16日から2022年11月30日まで)に関して、受給申請の内容について精査を要する疑義(以下「本件事案」という)が判明したことから、旅工房は、より客観性と信頼性の高い調査を行う必要があると判断し、2025年6月5日開催の取締役会の決議により、外部専門家を中心とした特別調査委員会を設置したものである。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員登録およびログインが必要です。
すでに会員登録をされている方は、下記ボタンからログインのうえ、ご覧ください。
Profession Journalのすべての記事をご覧いただくには、「プレミアム会員(有料)」へのご登録が必要となります。
なお、『速報解説』については「一般会員(無料)」へのご登録でも、ご覧いただけます。
※他にもWebセミナー受け放題のスーパープレミアム会員などがございます。
会員登録がお済みでない方は、下記会員登録のボタンより、ご登録のお手続きをお願いいたします。


