公開日: 2015/08/27 (掲載号:No.133)
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〔会計不正調査報告書を読む〕【第35回】北越紀州製紙株式会社「調査委員会調査報告書(平成27年5月28日付)」

筆者: 米澤 勝

 

〔会計不正調査報告書を読む〕

【第35回】

北越紀州製紙株式会社

「調査委員会調査報告書(平成27年5月28日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【調査委員会の概要】

〔適時開示(不正発覚)〕

〔調査委員会〕

委員長:糸魚川 順(社外監査役・独立役員)

副委員長:松本 和道(常務取締役、チーフ・コンプライアンス・オフィサー)

委 員:鈴木 信里(社外監査役、独立役員)

委 員:堀川 淳一(常勤監査役)

〔調査期間〕

2015(平成27)年5月12日から5月28日まで

〔調査目的〕

(1) 不正行為に関する事実関係および問題点の調査分析

(2) 過年度の会計処理の解明と訂正

(3) 同様の行為が他のグループ会社において行われていないか否かの確認

(4) 再発防止策の検討および提言

〔適時開示〕

 

【北越紀州製紙株式会社の概要】

北越紀州製紙株式会社(以下「北越紀州製紙」と略称する)は、1907(明治40)年4月設立。製紙業界5位の売上高を有する。連結売上高228,400百万円、連結経常利益11,462百万円(数字はいずれも平成27年3月期)。従業員数4,394名。本店所在地、新潟県長岡市。東京証券取引所1部上場。

今回不正が発覚した北越トレイディング株式会社(北越トレイディング株式会社「会社概要」)(以下「HTC」と略称する)は昭和37年10月設立。旧社名は北越不動産株式会社。資本金100百万円で、本店所在地は新潟県長岡市。北越紀州製紙の100%子会社で、不動産売買・仲介、長岡文化自動車学校の運営、自動車の販売・整備、石油燃料の販売などを行っている。

 

【調査報告書のポイント】

1  調査に至った経緯――不正行為者休暇中の電話

平成27年5月1日、総務部長X(以下「X」という)の休暇中、A銀行からHTCに対し、当座貸越契約の更新依頼の電話があり、電話を受けた課長はこれを不審に思い、HTC社長に報告した。また、当該課長は、郵便物の中にHTCとは取引のないB銀行発信のものを見つけ、開封したところ、HTCの返済予定表が入っていた。

5月6日、出社したXに直接確認したところ、XはHTCの資金を着服したことを告白した。内部調査の結果、過年度決算に訂正事項を生じる可能性が高いことが判明し、平成27年3月期決算短信(連結)の公表を延期するとともに、社内調査委員会(以下「当委員会」という)を設置して詳細な調査を行うことを決定したものである。

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【第35回】

北越紀州製紙株式会社

「調査委員会調査報告書(平成27年5月28日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【調査委員会の概要】

〔適時開示(不正発覚)〕

〔調査委員会〕

委員長:糸魚川 順(社外監査役・独立役員)

副委員長:松本 和道(常務取締役、チーフ・コンプライアンス・オフィサー)

委 員:鈴木 信里(社外監査役、独立役員)

委 員:堀川 淳一(常勤監査役)

〔調査期間〕

2015(平成27)年5月12日から5月28日まで

〔調査目的〕

(1) 不正行為に関する事実関係および問題点の調査分析

(2) 過年度の会計処理の解明と訂正

(3) 同様の行為が他のグループ会社において行われていないか否かの確認

(4) 再発防止策の検討および提言

〔適時開示〕

 

【北越紀州製紙株式会社の概要】

北越紀州製紙株式会社(以下「北越紀州製紙」と略称する)は、1907(明治40)年4月設立。製紙業界5位の売上高を有する。連結売上高228,400百万円、連結経常利益11,462百万円(数字はいずれも平成27年3月期)。従業員数4,394名。本店所在地、新潟県長岡市。東京証券取引所1部上場。

今回不正が発覚した北越トレイディング株式会社(北越トレイディング株式会社「会社概要」)(以下「HTC」と略称する)は昭和37年10月設立。旧社名は北越不動産株式会社。資本金100百万円で、本店所在地は新潟県長岡市。北越紀州製紙の100%子会社で、不動産売買・仲介、長岡文化自動車学校の運営、自動車の販売・整備、石油燃料の販売などを行っている。

 

【調査報告書のポイント】

1  調査に至った経緯――不正行為者休暇中の電話

平成27年5月1日、総務部長X(以下「X」という)の休暇中、A銀行からHTCに対し、当座貸越契約の更新依頼の電話があり、電話を受けた課長はこれを不審に思い、HTC社長に報告した。また、当該課長は、郵便物の中にHTCとは取引のないB銀行発信のものを見つけ、開封したところ、HTCの返済予定表が入っていた。

5月6日、出社したXに直接確認したところ、XはHTCの資金を着服したことを告白した。内部調査の結果、過年度決算に訂正事項を生じる可能性が高いことが判明し、平成27年3月期決算短信(連結)の公表を延期するとともに、社内調査委員会(以下「当委員会」という)を設置して詳細な調査を行うことを決定したものである。

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連載目次

会計不正調査報告書を読む

第1回~第150回 ※クリックするとご覧いただけます。

第151回~

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

関連書籍

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