〔会計不正調査報告書を読む〕
【第36回】
株式会社東芝
「過年度決算の修正,2014年度決算の概要(平成27年9月7日付)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
株式会社東芝(以下「東芝」という)は、平成27年9月7日「過年度決算の修正、2014年度決算の概要及び第176期有価証券報告書の提出並びに再発防止策の骨子等についてのお知らせ」と題するリリースその他を公表し、同日夕刻には、代表執行役社長室町正志氏による記者会見が行われた。
本稿では、東芝が、平成27年7月20日に第三者委員会調査報告書(以下「報告書」という)を受領した後、過年度決算の修正及び2014年度決算発表までの経緯を確認したうえで、報告書における指摘事項がどのように修正されたかを検討することとしたい。
また、同時に発表された「再発防止策の骨子」については、臨時株主総会での公表資料、今後、証券取引所により徴求が予想される改善報告書などを通じ、より具体的な施策が判明した段階で、報告書の提言がどの程度活かされているかを検証することとしたい。
なお、本件の第三者委員会調査報告書に関する検討内容については、本連載の下記2稿をご覧いただきたい。
【過年度決算の修正、2014年度決算発表に至るまでの経緯】
平成27年4月3日
「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」
同年5月8日
「第三者委員会設置のお知らせ」
「業績予想の修正に関するお知らせ」
「剰余金の配当(期末)に関するお知らせ」
同年5月13日
「現時点で判明している過年度修正額見込み及び第三者委員会設置に関する補足説明」
同年5月29日
「第176期有価証券報告書及び第177期第1四半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出に関するお知らせ」
同年6月12日
「自主チェック結果、特別調査委員会の調査概要及び第三者委員会への委嘱事項との関係についてのお知らせ」
同年7月20日
「第三者委員会調査報告書の受領及び判明した過年度決算の修正における今後の当社の対応についてのお知らせ」
同年7月21日
「第三者委員会の調査報告書全文の公表及び当社の今後の対応並びに経営責任の明確化についての知らせ」
同年7月29日
「第三者委員会の調査報告の結果を受けた当社の対応等について」
同年8月18日
「新経営体制及びガバナンス体制改革策並びに過年度決算の修正概要及び業績予想についてのお知らせ」
同年8月31日
「第176期有価証券報告書の提出期限延長(再延長)申請に係る承認のお知らせ」
同年9月7日
「過年度決算の修正、2014年度決算の概要及び第176期有価証券報告書の提出並びに再発防止策の骨子についてのお知らせ」
「財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ」
「2014年度決算短信開示の遅延理由及び今後の決算短信開示に関するお知らせ」
【調査報告書公表後の東芝の対応】
1 経営刷新委員会の設置
調査報告書を受領した後、東芝が最初に公表したリリースは、「経営体制、ガバナンス体制及び再発防止策を検討する」ことを目的とする、経営刷新委員会の設置、委員の選任を伝えるものであった(7月29日付)。
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