公開日: 2015/10/08 (掲載号:No.139)
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〔会計不正調査報告書を読む〕 【第37回】KDDI株式会社「外部調査委員会調査報告書(平成27年8月21日付)」

筆者: 米澤 勝

 

〔会計不正調査報告書を読む〕

【第37回】

KDDI株式会社

「外部調査委員会調査報告書(平成27年8月21日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【調査委員会の概要】

〔適時開示(不正発覚)〕

〔外部調査委員会設置〕

〔調査委員会〕

委員長:町田 幸雄(弁護士)

委 員:山口 幹生(弁護士)

委 員:高岡 俊文(公認会計士)

〔調査期間〕

2015(平成27)年5月12日から8月20日まで

〔調査目的〕

KDDIによる資本参加及びその後の子会社管理に関する事実関係の調査及び分析、並びに、原因の究明及び今後の再発防止策の策定

〔適時開示〕

 

【KDDI株式会社の概要】

KDDI株式会社(以下「KDDI」と略称する)は、1984(昭和59)年6月創業の電気通信事業者。auブランドは、携帯キャリアとして、NTTドコモに次ぐ2位、約29%を占めている。連結営業収益4,573,142百万円、連結経常利益752,403百万円(数字はいずれも平成27年3月期)。従業員数28,172名。本店所在地、東京都新宿区。東京証券取引所1部上場。

今回不正が発覚したDMX Technologies Group Ltd.(以下「DMX」という)は、シンガポール証券取引所に上場。中国、香港を中心にアジアでシステムインテグレーション事業、デジタル・メディア事業を展開。KDDIは、2009(平成21)年12月1日、第三者割当増資によりDMX株式の約51.7%を取得し、シンガポールでの上場を維持したまま、連結子会社とした。KDDIの2015(平成27)年3月現在の持ち株比率は約51.3%である。

 

【調査報告書のポイント】

1  調査に至った経緯――会計監査人の指摘とCEO・CFOの逮捕

DMXは、2014年12月期決算について、PricewaterhouseCoopers LLP(以下「PwC」という)による会計監査を受けていたところ、DMX及びそのグループ会社の取引の一部に、実在性に疑いのある取引が存在することを指摘された。具体的には、中国本土における取引の実在性を証明する証憑の提出をPwCが求めたにもかかわらず、期日までにこれを提出することができなったというものである。

また、2015年2月3日には、当時DMXのCEOであったJismyl Teo 氏(ジスミル氏)、CFOであった Skip Tan氏(スキップ氏)の両名が、KDDIの資本参加前である2008年にDMXにおいて行われた中国企業との取引に関連する犯罪の嫌疑で香港警察当局に逮捕された。

KDDIでは、こうした事態を受けて、監査委員会の指揮のもと、社内調査委員会を設置し、香港の法律事務所を起用して、2008年から2009年の取引について社内調査を開始したところ、香港の法律事務所からも不適切な会計処理が行われている可能性が示唆されたため、外部調査委員会の設置に至ったものである。

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〔会計不正調査報告書を読む〕

【第37回】

KDDI株式会社

「外部調査委員会調査報告書(平成27年8月21日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【調査委員会の概要】

〔適時開示(不正発覚)〕

〔外部調査委員会設置〕

〔調査委員会〕

委員長:町田 幸雄(弁護士)

委 員:山口 幹生(弁護士)

委 員:高岡 俊文(公認会計士)

〔調査期間〕

2015(平成27)年5月12日から8月20日まで

〔調査目的〕

KDDIによる資本参加及びその後の子会社管理に関する事実関係の調査及び分析、並びに、原因の究明及び今後の再発防止策の策定

〔適時開示〕

 

【KDDI株式会社の概要】

KDDI株式会社(以下「KDDI」と略称する)は、1984(昭和59)年6月創業の電気通信事業者。auブランドは、携帯キャリアとして、NTTドコモに次ぐ2位、約29%を占めている。連結営業収益4,573,142百万円、連結経常利益752,403百万円(数字はいずれも平成27年3月期)。従業員数28,172名。本店所在地、東京都新宿区。東京証券取引所1部上場。

今回不正が発覚したDMX Technologies Group Ltd.(以下「DMX」という)は、シンガポール証券取引所に上場。中国、香港を中心にアジアでシステムインテグレーション事業、デジタル・メディア事業を展開。KDDIは、2009(平成21)年12月1日、第三者割当増資によりDMX株式の約51.7%を取得し、シンガポールでの上場を維持したまま、連結子会社とした。KDDIの2015(平成27)年3月現在の持ち株比率は約51.3%である。

 

【調査報告書のポイント】

1  調査に至った経緯――会計監査人の指摘とCEO・CFOの逮捕

DMXは、2014年12月期決算について、PricewaterhouseCoopers LLP(以下「PwC」という)による会計監査を受けていたところ、DMX及びそのグループ会社の取引の一部に、実在性に疑いのある取引が存在することを指摘された。具体的には、中国本土における取引の実在性を証明する証憑の提出をPwCが求めたにもかかわらず、期日までにこれを提出することができなったというものである。

また、2015年2月3日には、当時DMXのCEOであったJismyl Teo 氏(ジスミル氏)、CFOであった Skip Tan氏(スキップ氏)の両名が、KDDIの資本参加前である2008年にDMXにおいて行われた中国企業との取引に関連する犯罪の嫌疑で香港警察当局に逮捕された。

KDDIでは、こうした事態を受けて、監査委員会の指揮のもと、社内調査委員会を設置し、香港の法律事務所を起用して、2008年から2009年の取引について社内調査を開始したところ、香港の法律事務所からも不適切な会計処理が行われている可能性が示唆されたため、外部調査委員会の設置に至ったものである。

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連載目次

会計不正調査報告書を読む

第1回~第150回 ※クリックするとご覧いただけます。

第151回~

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

関連書籍

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公認会計士 山岡信一郎 著

適時開示からみた監査法人の交代理由

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