〔会計不正調査報告書を読む〕
【第78回】
スルガ銀行株式会社
「第三者委員会調査報告書(平成30年9月7日付)」
(前編)
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
9月7日、スルガ銀行株式会社(以下「スルガ銀行」と略称する)が公表した第三者委員会調査報告書(公表版)は本文300ページを超える膨大な分量もさることながら、長期にわたり行われてきた不正な融資の実態や不正融資を引き起こした企業風土、行内におけるパワーハラスメントの実態などが詳細に綴られていた。
本稿では、スルガ銀行第三者委員会調査報告書について、まず【前編】として、第三者委員会により認定されたスルガ銀行の不正融資の手口とその発生原因について検証したうえで、次いで【後編】(11月15日公開)として、スルガ銀行取締役・監査役の法的責任、経営責任についての第三者委員会の評価を検証するとともに、調査報告書公表後の事態の推移を見ておきたい。
【第三者調査委員会の概要】
〔適時開示〕
- 2018(平成30)年5月15日
「シェアハウス関連融資問題に関する経緯のご報告と今後の対応について」
「危機管理委員会による調査結果の要旨」
〔危機管理委員会〕
【委員長】
久保利 英明(弁護士)
【委 員】
国廣 正(弁護士)
宮野 勉(弁護士)
〔調査期間〕
2018(平成30)年1月から5月15日まで
〔第三者委員会〕
【委員長】
中村 直人(弁護士)
【委 員】
仁科 秀隆(弁護士)
山田 和彦(弁護士)
倉橋 雄作(弁護士)
他に調査補助者として、中村・角田・松本法律事務所所属の弁護士4名と、デジタル・フォレンジック調査及びアンケート調査の実施のため調査補助者として、株式会社KPMGFASから、合計46名の役職員を当委員会に直属させた。
〔調査期間〕
2018(平成30)年5月15日から9月17日まで
〔調査の目的〕
① 2018年1月にスマートデイズがシェアハウスオーナーに対する賃料支払いを中止したことに端を発するシェアハウス関連融資の問題についての事実の調査及び原因の究明
② 上記①の問題発覚を受けてスルガ銀行が実施した顧客アンケート及び行員アンケートの分析並びに追加アンケートの要否の検討
③ 上記②のアンケート結果に顕れた疑念及び報道等により指摘されている事項についての事実の調査及び原因の究明
④ スルガ銀行の内部管理体制に関する調査並びに再発防止策の検討及び提言
⑤ 前各号に係る調査等の結果を記載した調査報告書の作成
〔適時開示(調査結果)〕
- 2018(平成30)年9月7日
「代表取締役及び役員の異動に関するお知らせ」
「第三者委員会の調査報告書の受領と今後の当社の対応について」 - 同年9月14日
「「取締役等責任調査委員会」及び「監査役責任調査委員会」の設置について」 - 同年10月5日
「当社に対する行政処分について」
【スルガ銀行株式会社の概要】
スルガ銀行は、1887年4月、岡野喜太郎によって結成された貯蓄組合「共同社」を前身とする地方銀行。2004年10月に、駿河銀行からスルガ銀行へと商号変更。連結経常収益156,278百万円、連結経常利益10,525百万円、従業員数1,907名(数字は、いずれも2018年3月期)。本店所在地は静岡県沼津市。東証1部上場。この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
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