〔会計不正調査報告書を読む〕
【第31回】
ジャパンベストレスキューシステム株式会社・
「内部調査委員会調査報告書(平成27年4月28日付)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
平成26年、3次にわたり第三者委員会を設置して子会社の不正売上の調査を行い、調査報告書を公表したジャパンベストレスキューシステム株式会社は、平成27年3月12日、東京証券取引所に「改善状況報告書」を提出した。しかし、同時に、「内部調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表し、再度、社外取締役、社外監査役を委員とする調査を行うこととなった。本稿では、一連の経緯を確認するとともに、調査結果を検証することとしたい。
- 本連載第22回 「第1次第三者委員会調査報告書(平成26年6月2日付)」
- 本連載第23回 「第2次第三者委員会調査報告書(平成26年7月28日付)」
- 本連載第24回 「第3次第三者委員会調査報告書(平成26年11月10日付)」
【ジャパンベストレスキューシステム株式会社の概要(再掲)】
ジャパンベストレスキューシステム株式会社(以下「JBR」という)は、1997(平成9)年創業。創業時の社名は、日本二輪車ロードサービス株式会社。その後、平成11年8月に現社名に変更。
JBRホームページには、以下のような事業目的が記載されている。
24時間365日対応の総合生活トラブル解決サービス「生活救急車」を全国展開し、ガラス・水まわり・カギ・パソコンのトラブル解決サービスなど様々なお困りごとに対応。
連結売上高10,405百万円、連結経常利益141百万円(数字はいずれも平成25年9月期)。従業員数196名。本店所在地、愛知県名古屋市。東証1部、名証1部上場。
【2014(平成26)年5月以降の適時開示】
【内部調査委員会の概要】
〔適時開示〕
- 2015(平成27)年3月12日
「内部調査委員会の設置に関するお知らせ」
〔第三者委員会〕
- 委員長:社外取締役 宇澤 亜弓(公認会計士)
- 委 員:社外取締役 熊谷 真喜(弁護士)
- 委 員:社外監査役 吉岡 徹郎(元静岡県庁職員)
〔調査期間〕
2015(平成27)年3月12日から4月27日まで
〔調査委員会の目的〕
(1) JBR元取締役管理部長B氏による本件不正行為に関する指示の有無及び関与の程度並びにJBRの監査体制及びJBRの監査対応における問題点等の調査
(2) 過去に設置された第三者委員会が認定した事実に誤りがある場合には、その原因の解明
(3) 再発防止策の提言
〔適時開示(調査結果)〕
- 2015年(平成27)年4月28日
「内部調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」
内部調査委員会による報告書のポイント
1 内部調査委員会の設置に至った経緯
調査報告書によれば、証券取引等監視委員会開示検査課による開示検査の対応の過程において、JBRの連結子会社である株式会社バイノス(以下「バイノス」と略称する)における不適正な売上計上(以下「本件不正行為」という)に関して、B氏(平成26年12月の株主総会で退任した元取締役管理部長鈴木良夫氏。以下、本稿では、「鈴木元取締役」と略称する)が関与していたことを疑わせる事実が確認され、また、JBRの監査体制及び監査対応にも問題があったことを窺わせる事実が確認されたため、本件不正行為について再度徹底的な調査を行い、事実関係を明らかにするとともに、原因たる事実に即した改善措置を立案することを目的として、JBRの社外役員3名(全員、本件不正行為が発覚した後に役員に選任された者である)から構成される内部調査委員会を設置したというものである。
2 内部調査委員会による調査の結果判明した事実
(1) D氏メモ
第1次第三者委員会によって、バイノス元代表取締役とともに「売上計画未達の発覚を回避するため、不適切な売上計上を行った」と認定された、バイノス元取締役でJBR管理部経理グループの元シニアマネージャーでバイノス元取締役のD氏は、第2次第三者委員会調査後の鈴木元取締役の「自己保身のみを図る態度」に不信感と憤りを覚え、後日、真実を話す必要が生じた際のことを考え、第1次調査報告書及び第2次調査報告書に朱書きでメモを加筆していき、「D氏メモ」を作成し、保管していた。
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