〔会計不正調査報告書を読む〕
【第31回】
株式会社リソー教育
「当社元取締役等に対する損害賠償請求の提起に係る意見書」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【第三者委員会調査報告書受領後の経緯】
平成26年2月10日
「第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」
同年2月14日
「代表取締役、役付役員及び子会社代表取締役の異動に関するお知らせ」
「過年度に係る有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度に係る決算短信等(訂正版)の公表について」
「第三者委員会の調査報告に基づく再発防止策について」
同年3月4日
「再発防止委員会の設置等に関するお知らせ」
同年3月7日
「証券取引等監視委員会による課徴金納付命令の勧告について」
同年3月10日
「特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求についてのお知らせ」
同年4月18日
「退会者の皆様に対する返金に関するお知らせ」
同年4月21日
「会計監査人の異動に関するお知らせ」
「金融庁による課徴金納付命令の決定について」
同年5月26日
「財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ」
平成27年3月20日
「当社に対する訴訟の提起に関するお知らせ」
同年5月8日
「当社元取締役等に対する損害賠償請求の提起に関するお知らせ」
・意見書作成者
弁護士 関根修一、同 平出貴和、同 杉本賢太
・意見書作成者(セカンドオピニオン)
弁護士 須藤修、同 野口徹晴
株式会社リソー教育の概要
株式会社リソー教育(以下「リソー教育」という)は、1985(昭和60)年7月設立。TOMASという名称の学習塾を直営方式で経営している。売上高18,776百万円、経常利益978百万円、従業員数527名(平成27年2月期)。本店所在地は東京都豊島区。東証1部上場。
今回損害賠償請求の対象となったのは、リソー教育の元取締役2名と、リソー教育の連結子会社、株式会社名門会(以下「名門会」という)の元社長である。名門会は家庭教師派遣事業を営み、売上高4,770百万円、経常利益59百万円を上げている。
元取締役等に対する損害賠償請求
第三者委員会から調査報告書を受領したリソー教育は、そのわずか4日後、会計不正に主体的な役割を果たしていたとされた2名の取締役及び1名の子会社取締役の辞任を発表した(詳しくは本連載【第15回】を参照されたい)。
すなわち、当時、リソー教育代表取締役社長であった伊東誠氏(第三者委員会報告書ではC専務。以下本稿では、「伊東元社長」という)及び常務取締役であった赤尾光治氏(第三者委員会報告書ではD常務。以下本稿では、「赤尾元常務」という)並びに名門会代表取締役社長であった大森喜良氏(第三者委員会報告書では甲社長。以下本稿では、「大森名門会元社長」という)の3名が、取締役についても辞任したうえで、当時の岩佐実次代表取締役会長(第三者委員会報告書ではA会長。以下本稿では「岩佐会長」という)が代表取締役社長を兼務するというものであった。
今回公表されたリリースでは、この3名を相手方として、平成27年5月8日付で、東京地方裁判所に対して損害賠償請求訴訟の提起を行い、請求金額は各相手方に対してそれぞれ3億円とすることが公表され、同時に、本件訴訟においてリソー教育側の代理人となる弁護士の意見書が添附されている。
本稿では、リソー教育が元取締役等の責任をどのように追及し、本件訴訟の提起に至ったのかを検証したい。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。