〔会計不正調査報告書を読む〕
【第106回】
株式会社旅工房
「外部調査チーム調査報告書(2020年6月26日付)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【株式会社旅工房外部調査チームの概要】
〔適時開示〕
- 2020年5月12日
「当社法人営業部門の従業員による不正の発覚と2020年3月期決算発表の延期に関するお知らせ」 - 同年6月17日
「当社法人営業部門の従業員による不正調査の進捗状況と定時株主総会の延期に関するお知らせ」
〔外部調査チーム〕
髙橋 宏達(弁護士)
福嶋 美里(弁護士)
﨑 香織(弁護士)
〔調査期間〕
2020年5月12日から6月25日まで
〔調査目的〕
本調査は、以下の各調査及び評価の結果並びに提案について、株式会社旅工房取締役会に報告することにより、同社の財務報告の信頼性を確認し、また、その向上に資することを目的とするものである。
① 本件従業員による経理上の不正行為に関して、第三者による公正、中立かつ客観的な視点から、事実関係の調査、その会計的・法的評価、及び再発防止策の提案を行うこと。
② 本件従業員以外の者による経理上の不正行為に関して、第三者による公正、中立かつ客観的な視点からその存否を調査するとともに、そのような不正行為が新たに検出された場合には、当該不正行為に関して、前記①と同様の調査、評価、及び提案を行うこと。
〔調査結果〕
【株式会社旅工房の概要】
株式会社旅工房(以下「旅工房」と略称する)は、1994(平成6)年4月設立。事業内容は、「旅行業の単一セグメント」であると説明されている(2020年3月期有価証券報告書5ページ)。2017年4月、東京証券取引所マザーズ市場上場。売上高33,355百万円、経常利益138百万円、資本金464百万円、従業員数376名(いずれも2020年3月期実績)。本店所在地は東京都豊島区。会計監査人はEY新日本有限責任監査法人。
【調査報告書の概要】
1 不正発覚の経緯と社内調査結果
調査報告書によれば、外部調査チームの設置に至る経緯は以下のとおりである。
旅工房は、2020年5月7日、A社より、旅工房において、A社発行の金券(金券A)が大量に手配及び換金されているとの問い合わせを受けたため、顧客の依頼により大量に金券A の手配を行っていた従業員(本件従業員)に対し詳細確認を行ったところ、本件従業員が、金券Aの換金について申告したため、取締役及び執行役員により、金券Aの換金に関するヒアリング及び関連する予約記録等の確認が行われた。その結果、本件従業員が、架空売上の計上及びこれにより発生した架空の売掛債権の支払に充当する資金を捻出するため、金券 Aの換金を繰り返し行っていることが判明した。
旅工房は、本件従業員による売上の架空計上及び金券Aの不正領得の発覚を受けて、同月12日、会計監査人とも協議のうえ、実効性と透明性の高い調査及び再発防止策の提言を受けるため、外部調査チームを設置することとした。
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