公開日: 2020/11/12 (掲載号:No.394)
文字サイズ

〔会計不正調査報告書を読む〕 【第106回】株式会社旅工房「外部調査チーム調査報告書(2020年6月26日付)」

筆者: 米澤 勝

〔会計不正調査報告書を読む〕

【第106回】

株式会社旅工房

「外部調査チーム調査報告書(2020年6月26日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【株式会社旅工房外部調査チームの概要】

〔適時開示〕

〔外部調査チーム〕

髙橋 宏達(弁護士)

福嶋 美里(弁護士)

﨑 香織(弁護士)

〔調査期間〕

2020年5月12日から6月25日まで

〔調査目的〕

本調査は、以下の各調査及び評価の結果並びに提案について、株式会社旅工房取締役会に報告することにより、同社の財務報告の信頼性を確認し、また、その向上に資することを目的とするものである。

① 本件従業員による経理上の不正行為に関して、第三者による公正、中立かつ客観的な視点から、事実関係の調査、その会計的・法的評価、及び再発防止策の提案を行うこと。

② 本件従業員以外の者による経理上の不正行為に関して、第三者による公正、中立かつ客観的な視点からその存否を調査するとともに、そのような不正行為が新たに検出された場合には、当該不正行為に関して、前記①と同様の調査、評価、及び提案を行うこと。

〔調査結果〕

 

【株式会社旅工房の概要】

株式会社旅工房(以下「旅工房」と略称する)は、1994(平成6)年4月設立。事業内容は、「旅行業の単一セグメント」であると説明されている(2020年3月期有価証券報告書5ページ)。2017年4月、東京証券取引所マザーズ市場上場。売上高33,355百万円、経常利益138百万円、資本金464百万円、従業員数376名(いずれも2020年3月期実績)。本店所在地は東京都豊島区。会計監査人はEY新日本有限責任監査法人。

 

【調査報告書の概要】

1 不正発覚の経緯と社内調査結果

調査報告書によれば、外部調査チームの設置に至る経緯は以下のとおりである。

旅工房は、2020年5月7日、A社より、旅工房において、A社発行の金券(金券A)が大量に手配及び換金されているとの問い合わせを受けたため、顧客の依頼により大量に金券A の手配を行っていた従業員(本件従業員)に対し詳細確認を行ったところ、本件従業員が、金券Aの換金について申告したため、取締役及び執行役員により、金券Aの換金に関するヒアリング及び関連する予約記録等の確認が行われた。その結果、本件従業員が、架空売上の計上及びこれにより発生した架空の売掛債権の支払に充当する資金を捻出するため、金券 Aの換金を繰り返し行っていることが判明した。

旅工房は、本件従業員による売上の架空計上及び金券Aの不正領得の発覚を受けて、同月12日、会計監査人とも協議のうえ、実効性と透明性の高い調査及び再発防止策の提言を受けるため、外部調査チームを設置することとした。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

〔会計不正調査報告書を読む〕

【第106回】

株式会社旅工房

「外部調査チーム調査報告書(2020年6月26日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【株式会社旅工房外部調査チームの概要】

〔適時開示〕

〔外部調査チーム〕

髙橋 宏達(弁護士)

福嶋 美里(弁護士)

﨑 香織(弁護士)

〔調査期間〕

2020年5月12日から6月25日まで

〔調査目的〕

本調査は、以下の各調査及び評価の結果並びに提案について、株式会社旅工房取締役会に報告することにより、同社の財務報告の信頼性を確認し、また、その向上に資することを目的とするものである。

① 本件従業員による経理上の不正行為に関して、第三者による公正、中立かつ客観的な視点から、事実関係の調査、その会計的・法的評価、及び再発防止策の提案を行うこと。

② 本件従業員以外の者による経理上の不正行為に関して、第三者による公正、中立かつ客観的な視点からその存否を調査するとともに、そのような不正行為が新たに検出された場合には、当該不正行為に関して、前記①と同様の調査、評価、及び提案を行うこと。

〔調査結果〕

 

【株式会社旅工房の概要】

株式会社旅工房(以下「旅工房」と略称する)は、1994(平成6)年4月設立。事業内容は、「旅行業の単一セグメント」であると説明されている(2020年3月期有価証券報告書5ページ)。2017年4月、東京証券取引所マザーズ市場上場。売上高33,355百万円、経常利益138百万円、資本金464百万円、従業員数376名(いずれも2020年3月期実績)。本店所在地は東京都豊島区。会計監査人はEY新日本有限責任監査法人。

 

【調査報告書の概要】

1 不正発覚の経緯と社内調査結果

調査報告書によれば、外部調査チームの設置に至る経緯は以下のとおりである。

旅工房は、2020年5月7日、A社より、旅工房において、A社発行の金券(金券A)が大量に手配及び換金されているとの問い合わせを受けたため、顧客の依頼により大量に金券A の手配を行っていた従業員(本件従業員)に対し詳細確認を行ったところ、本件従業員が、金券Aの換金について申告したため、取締役及び執行役員により、金券Aの換金に関するヒアリング及び関連する予約記録等の確認が行われた。その結果、本件従業員が、架空売上の計上及びこれにより発生した架空の売掛債権の支払に充当する資金を捻出するため、金券 Aの換金を繰り返し行っていることが判明した。

旅工房は、本件従業員による売上の架空計上及び金券Aの不正領得の発覚を受けて、同月12日、会計監査人とも協議のうえ、実効性と透明性の高い調査及び再発防止策の提言を受けるため、外部調査チームを設置することとした。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

会計不正調査報告書を読む

第1回~第150回 ※クリックするとご覧いただけます。

第151回~

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

関連書籍

「おかしな数字」をパッと見抜く会計術

公認会計士 山岡信一郎 著

適時開示からみた監査法人の交代理由

公認会計士 鈴木広樹 著

徹底解説 課税上のグレーゾーン

辻・本郷税理士法人 監修 辻・本郷税理士法人 関西審理室 編 税理士 山本秀樹 著

不正・誤謬を見抜く実証手続と監査実務

EY新日本有限責任監査法人 編

先進事例と実践 人的資本経営と情報開示

EY新日本有限責任監査法人 編 EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 編

企業戦略としての役員報酬

弁護士 中西和幸 著

気候変動リスクと会社経営 はじめの一歩

公認会計士 石王丸周夫 著

法務コンプライアンス実践ガイド

弁護士・青山学院大学法学部教授 浜辺陽一郎 著

企業法務で知っておくべき税務上の問題点100

弁護士・税理士 米倉裕樹 著 弁護士・税理士 中村和洋 著 弁護士・税理士 平松亜矢子 著 弁護士 元氏成保 著 弁護士・税理士 下尾裕 著 弁護士・税理士 永井秀人 著

仮装経理の実務対応

税理士 鈴木清孝 著

不正会計リスクにどう立ち向かうか!

公認会計士・公認不正検査士 宇澤亜弓 著

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#