〔会計不正調査報告書を読む〕
【第107回】
ハイアス・アンド・カンパニー株式会社
「第三者委員会中間調査報告書(2020年9月28日付)、
第三者委員会最終調査報告書(2020年10月26日付)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【ハイアス・アンド・カンパニー株式会社第三者委員会の概要】
〔適時開示〕
- 2020年7月28日
「当社における不適切な会計処理に係る特別調査委員会の設置に関するお知らせ」 - 同年8月17日
「特別調査委員会による調査の進捗に関するお知らせ」 - 同年8月31日
「特別調査委員会の調査状況及び第三者委員会設置に関するお知らせ」
〔特別調査委員会〕
【委員長】
伊藤 信彦(弁護士)
【委 員】
赤井 厚雄(当社社外取締役)
坂田 真吾(当社社外監査役、弁護士)
河江 健史(公認会計士)
〔第三者委員会〕
【委員長】
山口 利昭(弁護士・公認不正検査士)
【副委員長】
竹内 朗(弁護士・公認不正検査士)
【委 員】
三宅 英貴(弁護士)
伊藤 信彦(弁護士)
河江 健史(公認会計士)
【調査補助者】
・プロアクト法律事務所所属の弁護士・公認不正検査士
大野徹也、渡邊宙志、田中伸英、岩渕恵理
・アンダーソン・毛利・友常法律事務所所属の弁護士
大西良平、髙田将寛、角田匠吾
・光和総合法律事務所所属の弁護士
木谷太郎、中澤雄仁、野原俊介、鈴木智也、永井徳人、井上龍太郎、坂下大貴、橋本祥、佐藤敬太、網倉健太、櫻井駿、松宮愛
・公認会計士チーム
張本和志、佐々木洋平、河合健一、吉田浩平、吉田圭太、田村亮人、髙山清子、他5名
・PwCアドバイザリー合同会社
那須美帆子(公認会計士)、岡本真一(公認会計士)、井上浩三郎(公認会計士)、小澤茂樹(公認会計士)、石垣貴博(公認会計士)、他3名
・株式会社 foxcale
松村直毅、小池赳司(公認会計士)、宮下敦士、田野邊昂明、平山遼
〔調査期間〕
・2020年8月31日から9月27日まで(中間調査報告書)
・中間調査報告書提出後、10月25日まで(最終調査報告書)
〔調査目的〕
(1) 新たな疑義に関する事実関係の調査
(2) 類似事案の有無の確認
(3) 上記(1)及び(2)による当社財務諸表への影響の確定
(4) 当社株式の東京証券取引所マザーズから東京証券取引所市場第一部への市場変更のための審査に際してなされた報告内容に疑義を生じさせた事実関係の調査
(5) 原因究明及び再発防止策の提言
〔調査結果〕
- 2020年9月29日
「第三者委員会の中間調査報告書公表に関するお知らせ」 - 同年9月30日
「第16期有価証券報告書の提出、並びに過年度の有価証券報告書等、決算短信等の訂正に関するお知らせ」 - 同年10月26日
「第三者委員会の最終調査報告書公表に関するお知らせ」
【ハイアス・アンド・カンパニー株式会社の概要】
ハイアス・アンド・カンパニー株式会社(以下「ハイアス」と略称する)は、2005(平成17)年3月31日設立。事業内容は、不動産に関するコンサルティングと建築施工。売上高7,913百万円、経常利益174百万円、資本金433百万円、従業員数227名(いずれも2020年4月期連結実績)。本店所在地は東京都品川区。2016年4月、東京証券取引所マザーズ市場上場。会計監査人は有限責任あずさ監査法人東京事務所(以下「あずさ監査法人」と略称する)。◎経緯
- 2020年6月17日
監査役会に外部からの情報提供。
⇒ 監査役会による調査開始。 - 同年7月15日
監査役会から取締役会に対して調査の中間報告。 - 同年7月28日
特別調査委員会の設置を決定(適時開示)。 - 同年8月17日
特別調査委員会による調査の進捗状況(適時開示)。 - 同年8月31日
特別調査委員会の調査状況/第三者委員会設置(適時開示)。 - 同年9月29日
第三者委員会中間調査報告書公表。
【調査報告書の概要】
第三者委員会は、ハイアスの特別調査委員会による調査結果を引き継ぎ、「新たな疑義」に関わる事実関係の調査を中心に、準備期間を含めると2ヶ月を超える期間の調査を行っている。なお、本稿における役職者の呼称について、あらかじめお断りをしておきたい。第三者委員会による中間調査報告書で、「〇〇取締役」と表記されている役職者のうち、中間報告書公表後に辞任した者について、最終報告書では「〇〇元取締役」と呼称表記が改められているが、本稿では、表記変更に伴う混乱を避けるため、第三者委員会設置時の呼称をそのまま使用することとしている。
1 第三者委員会設置の経緯
(1) 特別調査委員会の設置
ハイアス監査役会が、2020年6月17日に受けた外部からの情報提供を契機として調査したところ、2016年4月期に費用計上すべきであった上場支援に係るコンサルタント報酬約880万円について、当該期に費用計上せず、2017年4月期にシステム開発の委託先を経由して支払ったため、当該期にソフトウェア資産として計上され、また、かかる実態と異なる名目での支払い稟議について、複数の取締役及び執行役員らが関与していた疑いがあることが判明し、2020年7月15日、監査役会から取締役会に対してその中間報告が行われた。
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