公開日: 2021/01/14 (掲載号:No.402)
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〔会計不正調査報告書を読む〕 【第109回】ネットワンシステムズ株式会社「外部調査委員会調査報告書(2020年12月14日付)」

筆者: 米澤 勝

〔会計不正調査報告書を読む〕

【第109回】

ネットワンシステムズ株式会社

「外部調査委員会調査報告書(2020年12月14日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【ネットワンシステムズ株式会社外部調査委員会の概要】

〔適時開示〕

〔外部調査委員会〕

【委員長】

本村 健(弁護士)

【委 員】

和田 芳幸(公認会計士)

近藤 弘(公認会計士)

長谷川 紘之(弁護士)

山田 勝也(公認会計士)

冨田 雄介(弁護士)

調査補助者として、弁護士12名(米国ニューヨーク州弁護士1名を含む)、公認会計士12名、その他パラリーガル・スタッフ等6名を任命している。

〔調査期間〕

2020年11月2日から12月13日まで

〔調査目的〕

(1) 甲事案及び乙事案に係る事実関係の調査

(2) 甲事案又は乙事案に類似する事象の有無の調査

(3) 甲事案又は乙事案が事実であることが判明した場合、必要に応じ、その原因の究明及び再発防止策の提言

(4) 上記各号の委嘱事項を遂行した結果に基づく調査報告書の作成、及びその調査報告書のネットワンシステムズ株式会社への提出

(5) その他、当委員会が必要と認めた事項

〔調査結果〕

 

【ネットワンシステムズ株式会社社内調査チームの概要】

〔社内調査チーム〕

  • 調査を主に担当する当社従業員12名
  • 当社従業員である補助者35名
  • デジタル・フォレンジック及び会計調査の専門会社の27名
  • 外部アドバイザー:矢田悠弁護士、神村泰輝弁護士

〔調査期間〕

2020年9月8日から12月15日まで

〔調査目的〕

原価計上不足の疑義についての調査及び過年度の会計処理についての検討を行うための調査

〔調査結果〕

 

【ネットワンシステムズ株式会社の概要】

ネットワンシステムズ株式会社(以下「ネットワン」と略称する)は、1988(昭和63)年2月設立。情報インフラ構築と関連サービスの提供を主たる事業とする。売上高186,167百万円、経常利益16,563百万円、資本金12,279百万円、従業員数2,431名(いずれも2020年3月期連結実績)。本店所在地は東京都千代田区。東京証券取引所1部上場。会計監査人は有限責任監査法人トーマツ。

◎外部調査委員会設置に至る経緯

  • 2019年11月14日
    東京国税局による税務調査の過程で、納品の事実が確認できない疑義があるとの指摘を受ける。
  • 同年12月13日
    特別調査委員会による調査開始。
  • 2020年2月13日
    特別調査委員会の中間報告書の受領/公表。
  • 同年3月12日
    特別調査委員会による調査結果と今後の対応を公表。
  • 同年5月8日
    東京証券取引所による「改善報告書」の提出請求及び「公表措置」の実施。
  • 同年6月5日
    東京証券取引所への「改善報告書」の提出。
  • 同年7月13日
    財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ。
  • 同年10月26日
    外部機関からの指摘により、従業員による資金流用の疑義を認識。

 

【調査報告書の概要】

1 外部調査委員会設置の経緯

調査報告書によれば、ネットワンは、2020年10月22日、外部機関aからの指摘により、次の疑義を認識した(以下、下記の事案及びを総称して「甲事案」という)。

 A氏が、案件1において、仕入先の仕入先b社との間で、発注額が実際の機器や役務と比較して過大な金額である取引(以下、「水増し取引」といい、水増し取引 に係る発注を「水増し発注」という)を行うことにより、ネットワンの資金を仕入先b社に対し不正に流出させ、かつ、仕入先b社をして当該資金の全部又は一部をA氏のプライベートカンパニーに流入させた疑義

 A氏が、案件2において、仕入先の仕入先c社との間で、実際の機器の納入や役務の提供等を伴わない取引(以下、「架空取引」といい、架空取引に係る発注を「架空発注」という)を行うことにより、ネットワンの資金を仕入先c社に対し不正に流出させ、かつ、仕入先c社及び第三者をして当該資金の一部をA氏のプライベートカンパニーに流入させた疑義

ネットワンは、この指摘を踏まえて、社内調査を行ったところ、甲事案における不正流出の疑義が相当程度高まったことから、甲事案の事実関係の調査、甲事案の類似案件の調査等を目的として、11月2日開催の取締役会において、ネットワンと利害関係を有しない外部専門家のみを委員とする外部調査委員会の設置を決定した。

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〔会計不正調査報告書を読む〕

【第109回】

ネットワンシステムズ株式会社

「外部調査委員会調査報告書(2020年12月14日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【ネットワンシステムズ株式会社外部調査委員会の概要】

〔適時開示〕

〔外部調査委員会〕

【委員長】

本村 健(弁護士)

【委 員】

和田 芳幸(公認会計士)

近藤 弘(公認会計士)

長谷川 紘之(弁護士)

山田 勝也(公認会計士)

冨田 雄介(弁護士)

調査補助者として、弁護士12名(米国ニューヨーク州弁護士1名を含む)、公認会計士12名、その他パラリーガル・スタッフ等6名を任命している。

〔調査期間〕

2020年11月2日から12月13日まで

〔調査目的〕

(1) 甲事案及び乙事案に係る事実関係の調査

(2) 甲事案又は乙事案に類似する事象の有無の調査

(3) 甲事案又は乙事案が事実であることが判明した場合、必要に応じ、その原因の究明及び再発防止策の提言

(4) 上記各号の委嘱事項を遂行した結果に基づく調査報告書の作成、及びその調査報告書のネットワンシステムズ株式会社への提出

(5) その他、当委員会が必要と認めた事項

〔調査結果〕

 

【ネットワンシステムズ株式会社社内調査チームの概要】

〔社内調査チーム〕

  • 調査を主に担当する当社従業員12名
  • 当社従業員である補助者35名
  • デジタル・フォレンジック及び会計調査の専門会社の27名
  • 外部アドバイザー:矢田悠弁護士、神村泰輝弁護士

〔調査期間〕

2020年9月8日から12月15日まで

〔調査目的〕

原価計上不足の疑義についての調査及び過年度の会計処理についての検討を行うための調査

〔調査結果〕

 

【ネットワンシステムズ株式会社の概要】

ネットワンシステムズ株式会社(以下「ネットワン」と略称する)は、1988(昭和63)年2月設立。情報インフラ構築と関連サービスの提供を主たる事業とする。売上高186,167百万円、経常利益16,563百万円、資本金12,279百万円、従業員数2,431名(いずれも2020年3月期連結実績)。本店所在地は東京都千代田区。東京証券取引所1部上場。会計監査人は有限責任監査法人トーマツ。

◎外部調査委員会設置に至る経緯

  • 2019年11月14日
    東京国税局による税務調査の過程で、納品の事実が確認できない疑義があるとの指摘を受ける。
  • 同年12月13日
    特別調査委員会による調査開始。
  • 2020年2月13日
    特別調査委員会の中間報告書の受領/公表。
  • 同年3月12日
    特別調査委員会による調査結果と今後の対応を公表。
  • 同年5月8日
    東京証券取引所による「改善報告書」の提出請求及び「公表措置」の実施。
  • 同年6月5日
    東京証券取引所への「改善報告書」の提出。
  • 同年7月13日
    財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ。
  • 同年10月26日
    外部機関からの指摘により、従業員による資金流用の疑義を認識。

 

【調査報告書の概要】

1 外部調査委員会設置の経緯

調査報告書によれば、ネットワンは、2020年10月22日、外部機関aからの指摘により、次の疑義を認識した(以下、下記の事案及びを総称して「甲事案」という)。

 A氏が、案件1において、仕入先の仕入先b社との間で、発注額が実際の機器や役務と比較して過大な金額である取引(以下、「水増し取引」といい、水増し取引 に係る発注を「水増し発注」という)を行うことにより、ネットワンの資金を仕入先b社に対し不正に流出させ、かつ、仕入先b社をして当該資金の全部又は一部をA氏のプライベートカンパニーに流入させた疑義

 A氏が、案件2において、仕入先の仕入先c社との間で、実際の機器の納入や役務の提供等を伴わない取引(以下、「架空取引」といい、架空取引に係る発注を「架空発注」という)を行うことにより、ネットワンの資金を仕入先c社に対し不正に流出させ、かつ、仕入先c社及び第三者をして当該資金の一部をA氏のプライベートカンパニーに流入させた疑義

ネットワンは、この指摘を踏まえて、社内調査を行ったところ、甲事案における不正流出の疑義が相当程度高まったことから、甲事案の事実関係の調査、甲事案の類似案件の調査等を目的として、11月2日開催の取締役会において、ネットワンと利害関係を有しない外部専門家のみを委員とする外部調査委員会の設置を決定した。

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連載目次

会計不正調査報告書を読む

第1回~第150回 ※クリックするとご覧いただけます。

第151回~

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

関連書籍

「おかしな数字」をパッと見抜く会計術

公認会計士 山岡信一郎 著

適時開示からみた監査法人の交代理由

公認会計士 鈴木広樹 著

徹底解説 課税上のグレーゾーン

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仮装経理の実務対応

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社会福祉法人の不正防止・内部統制・監査

全国社会福祉法人会計研究会 編著

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