〔会計不正調査報告書を読む〕
【第166回】
株式会社ジェイ・エス・ビー
「特別調査委員会調査報告書(開示版)(2024年11月21日付)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【株式会社ジェイ・エス・ビー特別調査委員会の概要】
〔適時開示〕
- 2024年12月13日
「2024年10月期決算発表の延期に関するお知らせ」
〔調査委員会の構成〕
【委員長】
北田幹直(弁護士 北田幹直法律事務所)
【委 員】
上願敏來(独立社外監査役 税理士 上願敏來税理士事務所)
林谷浩二(弁護士 冨村・林谷法律事務所)
【調査補助者】
ひふみ総合法律事務所
弁護士 矢田悠、小島冬樹、松原由佳、生井佳代
〔調査期間〕
2024年9月13日から11月21日まで(事前準備期間を含む)
〔調査委員会の目的〕
① 専務取締役であったXd氏による視察、研修における経費の不正使用の疑いに係る事実関係の調査
② Xd氏の経費使用に係るその他の不正行為の有無に関する調査
③ 上記①②に関する原因究明及び再発防止策の提言
④ その他当委員会が株式会社ジェイ・エス・ビーと協議の上、必要と認めた事項
〔調査結果〕
- 2025年1月15日
「特別調査委員会による調査報告書の公表について」
【株式会社ジェイ・エス・ビーの概要】
株式会社ジェイ・エス・ビー(以下「JSB」と略称する)は、1990(平成2)年7月、前身である株式会社京都学生情報センターで行っていた学生を主な対象とした物件の仲介業を引き継ぐ形で、設立。不動産賃貸管理事業を主たる事業とし、国内連結子会社9社を有する。元代表取締役会長であり、調査時点では相談役である岡靖子氏(報告書上の表記はXa氏)。以下、「岡靖子相談役」と略称する)が自身の資産管理会社と合わせて発行済み株式の39.30%を有する大株主である。連結売上高69,529百万円、連結経常利益7,886万円、資本金4,336百万円。従業員数1,156名(2024年10月期実績)。本店所在地は京都府京都市下京区。東京証券取引所プライム市場上場。会計監査人は、有限責任監査法人トーマツ京都事務所(以下、「監査法人トーマツ」と略称する)。
【特別調査委員会による調査報告書の概要】
1 特別調査委員会設置の経緯
2024年5月頃、JSB常勤監査役の岡田健一氏(報告書上の表記は「Xk氏」。以下「岡田常勤監査役」と略称する)に、当時、専務取締役であった小菅香織氏(報告書上の表記は「Xd氏」。以下「小菅元専務」と略称する)が海外視察・研修に家族を同伴し、その費用を会社に負担させているとの情報が入った。岡田常勤監査役は当該情報を監査役会で共有し、調査を開始したところ、7月には、別途、同趣旨の通報もあったことから更に調査を行い、8月30日の臨時監査役会において、9月13日に開催される定時取締役会において調査内容の報告を行うことを決議した。
9月13日開催の定時取締役会の席上、岡田常勤監査役は、会社法382条に基づく監査役の報告として、小菅元専務が親族の旅行代金等の私的な費用のために経費を不正に使用した疑いが生じた旨を述べ、出席者に対して「専務取締役による経費不正使用の疑いについて」と題する資料を用いて説明を行った。
次に、事前に情報共有を受けていた取締役会議長で、代表取締役社長の近藤真彦氏(報告書上の表記は「Xc氏」。以下、「近藤社長」と略称する)は、JSBから独立した中立かつ公正な外部専門家並びに独立社外取締役及び独立社外監査役で構成される調査委員会を設置し、小菅元専務の経費使用に関する事実調査を実施する旨を内容とする議案を上程し、上記疑いに関し、小菅元専務に意見・反論を求めた上で採決した。
採決の結果、利害関係を有することから決議に参加しなかった小菅元専務のほか、鈴木康之社外取締役(報告書上の表記は「Xh氏」。以下「鈴木社外取締役」と略称する)及び同日の取締役会を欠席した白石徳生社外取締役(報告書上の表記は「Xg氏」。以下「白石社外取締役」と略称する)以外の取締役が上記議案に賛成し、同議案は承認可決され、特別調査委員会が設置された。
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