公開日: 2025/09/25 (掲載号:No.637)
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〔会計不正調査報告書を読む〕 【第174回】ダイワ通信株式会社「第三者委員会調査報告書(公表版)(2025年4月18日付)」「特別調査委員会調査報告書(開示版)(2025年7月31日付)」

筆者: 米澤 勝

〔会計不正調査報告書を読む〕

【第174回】

ダイワ通信株式会社

「第三者委員会調査報告書(公表版)(2025年4月18日付)」

「特別調査委員会調査報告書(開示版)(2025年7月31日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【ダイワ通信株式会社第三者委員会の概要】

〔適時開示〕

〔第三者委員会の構成〕

【委員長】

永口 学(弁護士 岩田合同法律事務所札幌オフィス)

【委 員】

武藤雄木(弁護士・公認会計士 岩田合同法律事務所)

垂水 敬(公認会計士 太陽グラントソントン・アドバイザーズ株式会社)

【調査補助者】

(弁護士)

青木晋治、佐々木智生、豊岡啓人、武田 敦、堀田凌平、田中いづみ

(公認会計士)

前村浩介、井戸志生、今枝侑子 ほか6名

(その他パラリーガル、スタッフ等)

中村繭美 ほか20名

【デジタルフォレンジック調査等の支援】

株式会社foxcale

〔調査期間〕

2025年2月4日から2025年4月18日まで

〔第三者委員会の目的〕

(1) 事実関係の調査

(2) 類似事象の有無の調査

(3) 影響額の算定

(4) 原因究明と再発防止策の提言

(5) その他、委員会が必要と認めた事項

〔調査結果〕

 

【ダイワ通信株式会社特別調査委員会の概要】

〔適時開示〕

〔特別調査委員会の構成〕

【委員長】

山上秀明(弁護士・元最高検察庁次長検事 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)

【委 員】

清水真一郎(弁護士・公認不正検査士 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)

杉田篤史(公認会計士 株式会社WARC)

【調査補助者】

渥美坂井法律事務所・外国法共同事業所属の弁護士

水上高佑、堀江将生、小野光、清田紗希

A&S福岡法律事務所弁護士法人所属の弁護士

光山夏貴

株式会社WARC所属の公認会計士

渡井肇洋

株式会社WARCから委託を受けた公認会計士

永田紀章、下田慎也、佐藤友裕、齋藤太 その他公認会計士3名

【デジタル・フォレンジック調査】

AIデータ株式会社

森田善明、小瀬聡幸、大野宏和、清利樹 その他12名

〔調査期間〕

2025年6月2日から2025年7月11日まで

〔第三者委員会の目的〕

(1) 事実関係の調査

(2) 類似事象の有無の調査

(3) 影響額の算定

(4) 原因究明と再発防止策の提言

(5) その他、委員会が必要と認めた事項

〔調査結果〕

 

【ダイワ通信株式会社の概要】

ダイワ通信株式会社(以下「ダイワ通信」と略称する)は、創業者である岩本秀成氏が1996(平成8)年4月に設立した有限会社ムーブ北陸(現社名はIWAMOTOアセットマネジメント株式会社)が、2016(平成28)年3月に、新設分割により新会社として設立。セキュリティ事業及びモバイル事業を主たる事業として、国内に連結子会社2社を有する。売上高5,159百万円、経常利益371百万円、資本金100百万円。従業員数は115名。

代表取締役社長の岩本秀成氏(以下、「岩本社長」と略称する)及び同氏の資産管理会社であるIWAMOTOアセットマネジメント株式会社(以下、「IWAMOTO」と略称する)が発行済み株式の70.78%を有する筆頭株主である(いずれも、訂正前の2024年3月期連結実績)。本店所在地は石川県金沢市。

会計監査人は、2024年3月期決算まで{2024年3月期における継続監査機関は4年間}は、有限責任監査法人トーマツ北陸事務所(報告書上の表記は「I監査法人」。以下、「監査法人トーマツ」と略称する)。2024年6月21日付で、かなで監査法人(報告書上の表記は「J監査法人」)が会計監査人に就任したが、2025年6月2日、かなで監査法人は、ダイワ通信の第10回定時株主総会の終結の時をもって会計監査人の選任を辞退することが公表されている。

 

【第三者委員会による調査報告書の概要】

1 第三者委員会設置の経緯

ダイワ通信は、2025年1月中旬、連結子会社であるディーズセキュリティ株式会社(以下「DSS」と略称する)とその取引先との間における不適切な取引に関する通報(本通報の内容はDSSにおいて循環取引その他これに類似する取引の存在をうかがわせる内容であった)が外部機関にあり、当該通報に関して監査法人トーマツより連絡があったため、ダイワ通信の顧問弁護士事務所の中田博繁氏を委員長として社内調査を実施した。

その後、ダイワ通信は、当該社内調査の内容の報告を受け、第三者委員会の設置の必要性を検討し、2025年2月4日開催の臨時取締役会において、ダイワ通信から完全に独立・中立な立場の外部専門家のみから構成される、日本弁護士連合会「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠した第三者委員会の設置を決議した。

そして、ダイワ通信は、同日付の「第三者委員会設置及び2025年3月期第3四半期決算短信の開示が四半期終了後45日を超えることに関するお知らせ」において、DSSにおいて売上の過大計上と簿外在庫が生じている可能性があることが判明したこと、売上の過大計上と簿外在庫に関する事実関係及びその内容について調査し、判明した事実が連結財務諸表に与える影響を検討し、その根本原因を究明の上再発防止を図るとともに、より厳格な調査を実施するため、外部専門家の関与が必要であると判断し、同日開催の取締役会において第三者委員会の設置を決議したことを公表した。

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〔会計不正調査報告書を読む〕

【第174回】

ダイワ通信株式会社

「第三者委員会調査報告書(公表版)(2025年4月18日付)」

「特別調査委員会調査報告書(開示版)(2025年7月31日付)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【ダイワ通信株式会社第三者委員会の概要】

〔適時開示〕

〔第三者委員会の構成〕

【委員長】

永口 学(弁護士 岩田合同法律事務所札幌オフィス)

【委 員】

武藤雄木(弁護士・公認会計士 岩田合同法律事務所)

垂水 敬(公認会計士 太陽グラントソントン・アドバイザーズ株式会社)

【調査補助者】

(弁護士)

青木晋治、佐々木智生、豊岡啓人、武田 敦、堀田凌平、田中いづみ

(公認会計士)

前村浩介、井戸志生、今枝侑子 ほか6名

(その他パラリーガル、スタッフ等)

中村繭美 ほか20名

【デジタルフォレンジック調査等の支援】

株式会社foxcale

〔調査期間〕

2025年2月4日から2025年4月18日まで

〔第三者委員会の目的〕

(1) 事実関係の調査

(2) 類似事象の有無の調査

(3) 影響額の算定

(4) 原因究明と再発防止策の提言

(5) その他、委員会が必要と認めた事項

〔調査結果〕

 

【ダイワ通信株式会社特別調査委員会の概要】

〔適時開示〕

〔特別調査委員会の構成〕

【委員長】

山上秀明(弁護士・元最高検察庁次長検事 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)

【委 員】

清水真一郎(弁護士・公認不正検査士 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)

杉田篤史(公認会計士 株式会社WARC)

【調査補助者】

渥美坂井法律事務所・外国法共同事業所属の弁護士

水上高佑、堀江将生、小野光、清田紗希

A&S福岡法律事務所弁護士法人所属の弁護士

光山夏貴

株式会社WARC所属の公認会計士

渡井肇洋

株式会社WARCから委託を受けた公認会計士

永田紀章、下田慎也、佐藤友裕、齋藤太 その他公認会計士3名

【デジタル・フォレンジック調査】

AIデータ株式会社

森田善明、小瀬聡幸、大野宏和、清利樹 その他12名

〔調査期間〕

2025年6月2日から2025年7月11日まで

〔第三者委員会の目的〕

(1) 事実関係の調査

(2) 類似事象の有無の調査

(3) 影響額の算定

(4) 原因究明と再発防止策の提言

(5) その他、委員会が必要と認めた事項

〔調査結果〕

 

【ダイワ通信株式会社の概要】

ダイワ通信株式会社(以下「ダイワ通信」と略称する)は、創業者である岩本秀成氏が1996(平成8)年4月に設立した有限会社ムーブ北陸(現社名はIWAMOTOアセットマネジメント株式会社)が、2016(平成28)年3月に、新設分割により新会社として設立。セキュリティ事業及びモバイル事業を主たる事業として、国内に連結子会社2社を有する。売上高5,159百万円、経常利益371百万円、資本金100百万円。従業員数は115名。

代表取締役社長の岩本秀成氏(以下、「岩本社長」と略称する)及び同氏の資産管理会社であるIWAMOTOアセットマネジメント株式会社(以下、「IWAMOTO」と略称する)が発行済み株式の70.78%を有する筆頭株主である(いずれも、訂正前の2024年3月期連結実績)。本店所在地は石川県金沢市。

会計監査人は、2024年3月期決算まで{2024年3月期における継続監査機関は4年間}は、有限責任監査法人トーマツ北陸事務所(報告書上の表記は「I監査法人」。以下、「監査法人トーマツ」と略称する)。2024年6月21日付で、かなで監査法人(報告書上の表記は「J監査法人」)が会計監査人に就任したが、2025年6月2日、かなで監査法人は、ダイワ通信の第10回定時株主総会の終結の時をもって会計監査人の選任を辞退することが公表されている。

 

【第三者委員会による調査報告書の概要】

1 第三者委員会設置の経緯

ダイワ通信は、2025年1月中旬、連結子会社であるディーズセキュリティ株式会社(以下「DSS」と略称する)とその取引先との間における不適切な取引に関する通報(本通報の内容はDSSにおいて循環取引その他これに類似する取引の存在をうかがわせる内容であった)が外部機関にあり、当該通報に関して監査法人トーマツより連絡があったため、ダイワ通信の顧問弁護士事務所の中田博繁氏を委員長として社内調査を実施した。

その後、ダイワ通信は、当該社内調査の内容の報告を受け、第三者委員会の設置の必要性を検討し、2025年2月4日開催の臨時取締役会において、ダイワ通信から完全に独立・中立な立場の外部専門家のみから構成される、日本弁護士連合会「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠した第三者委員会の設置を決議した。

そして、ダイワ通信は、同日付の「第三者委員会設置及び2025年3月期第3四半期決算短信の開示が四半期終了後45日を超えることに関するお知らせ」において、DSSにおいて売上の過大計上と簿外在庫が生じている可能性があることが判明したこと、売上の過大計上と簿外在庫に関する事実関係及びその内容について調査し、判明した事実が連結財務諸表に与える影響を検討し、その根本原因を究明の上再発防止を図るとともに、より厳格な調査を実施するため、外部専門家の関与が必要であると判断し、同日開催の取締役会において第三者委員会の設置を決議したことを公表した。

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連載目次

会計不正調査報告書を読む

第1回~第150回 ※クリックするとご覧いただけます。

第151回~

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

関連書籍

実例で学ぶ 内部通報実践対応88

株式会社 エス・ピー・ネットワーク 著 中野 真 監修

適時開示からみた監査法人の交代理由

公認会計士 鈴木広樹 著

不正・誤謬を見抜く実証手続と監査実務

EY新日本有限責任監査法人 編

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EY新日本有限責任監査法人 編 EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 編

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気候変動リスクと会社経営 はじめの一歩

公認会計士 石王丸周夫 著

ドローン・ビジネスと法規制

森・濱田松本法律事務所 AI・IoTプラクティスグループ 編 弁護士 戸嶋浩二 編集代表 弁護士 林 浩美 編集代表 弁護士 岡田 淳 編集代表

法務コンプライアンス実践ガイド

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架空循環取引

公認会計士 霞 晴久、 弁護士・公認不正検査士 中西 和幸、 税理士・公認不正検査士 米澤 勝 著

不正会計リスクにどう立ち向かうか!

公認会計士・公認不正検査士 宇澤亜弓 著
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